少女もといサイが流星街に捨てられてから、1ヶ月が過ぎていた

ここでは毎日が生と死の隣り合わせ

サイは毎日を精一杯、生きていた


今日もゴミ山を漁り、使える物を失敬する

たまに死体やらが棄ててあるのを見つけると、心が冷えていくのを感じたが、今ではそんな柔な心は持っていない

図太くなければ生きていけないからだ


「はぁ…」


だがサイは疲れきっていた
そんな時だった


―――変化が訪れたのは


食べ物を探していたサイの耳に戦闘音が届く

ここでは別に珍しくもないので、被害を受けないようにコソコソと動いていた

瞬間、身体が吹っ飛んだ


幼い体が宙を舞い、瓦礫に叩き付けられる

全身に切傷や擦り傷が出来たが、それよりも身体から力が抜け出ていくことに焦りを感じた


(ッ!)


慌てて身体を見ると、湯気のようなものが迸っていた


周りでは未だに戦闘が続いているのか騒がしい

が、サイの耳にはそんなものは届いてはいなかった


頭では冷静にこれが『オーラ』だということを理解していた

あちらの世界の漫画が、役に立つ時が来たのだ


楽な姿勢をとり、サイは全神経をオーラに集中していた


身体中から汗が吹き出し倦怠感が身体を襲うが『纏』を止めるわけにはいかない


……纏をマスター出来なきゃ、死んでしまう


死の恐怖がここでもサイに付きまとう

が、今回は恐怖の力が強かったのか『纏』をマスターすることが出来た


「……できたぁ……!」


へなへなと地面に座り込むサイの体には汗が浮かび、息は荒い

「しぬかとおもった……!」


息を整えるとサイは戦闘音のする方向に目を向けた

何が見える訳ではないが、念能力者が戦っていたというのは理解出来る

それはなぜか


サイの身体に直撃したものが『念』だからだ

恐らく念能力者の放ったオーラが運悪く直撃したのだ


また被害をくらってはヤバいと感じたサイは、疲れきった身体にむち打ち走り出す


止むことなく続く戦闘を尻目にサイは新たな力とともに走り出したのだった


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