サイが目が覚めて気付いたことはゴミ山以外にもあった

身体が幼稚園児くらいの小ささに戻っていたのだ

紅葉のようなぷくぷくした手の平を見た時は本当に驚いた


そして暫くして気付いたこと


それは


「HUNTERxHUNTERの世界」


暫くは呆然としていたサイだったが、すぐに行動を開始した

近くにある廃虚に住もうとも思ったが、ボロすぎたりして住む事が出来なかったからだ

しかし幼い体では思うように動く事は出来ず


「もうッ!なんでちっちゃくなってるわけ!?」


苛立っていた


「てかこれって夢じゃないんなら、トリップだよね?

マジで最悪なんだけど…

てか夢小説は夢だから成り立つのであって、実際トリップするなんて有り得ないから!」


幼い体でペラペラ喋る女の子ほど、異常なものは無いだろう

無垢で純粋だと思い込んでしまうのが子供


なのに私は……


「だーッ!なんでこんなゴミばっかなのよッ!?

歩きづらいったらー」


叫んでいた


叫ばなければ、動く事も出来なかったのだ

見知らぬ場所に自分だけという状況


なぜこんな場所にいるのか

少女は自分の世界から、違う世界に、違う場所に捨てられたのだ

孤独に押し潰される感覚


「ッ私はどうして、ここにいるのよ!?」


辺りを見回しても、見知ったものは見つからず、ゴミ山に捨てられたという現実しか無い


―――世界に私は捨てられた


歩き疲れた頃、そう悟った少女は歩く事を止めた

服が汚れる事も気にせず、少女は瓦礫の上に仰向けに横たわった

少女は視界いっぱいに青い空と白い雲を映し、涙を溢した


「…………かえりたいよ」


孤独と恐怖に押し潰された少女は世界を拒絶した






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