身体中に激痛を感じた夏希は身体を丸めた


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

口を開いたら叫び声しか出ない気がした夏希は懸命に唇を噛み締めた


…体が、燃えているみたい……
足の指先から頭の天辺まで

痛みに支配される頭の片隅でそう考える夏希


すると話し声が聞こえてきたので夏希は慌てた

何故だか分からないが、今のこの状態を他人に見られてはいけない気がするのだ


痛みを堪えながら夏希は地べたを這って進み、近くの公園に隠れた

痛い痛い痛い痛い痛い
でも見つかってはいけない

痛みに身体を丸める夏希だが痛みはだんだんと強くなっていく
もう何なのよ

頭の片隅で悪態をつくが痛みが終わる訳ではない
あの吸血鬼、まさか私も仲間にした………?
咬まれたのに死んでないってコトは、そういうコトでしょ?

私、人の血を飲んで生きるなんてイヤ!これじゃただの化け物じゃないッ!


頭の中でぐるぐると思考が働いている

そんな時、ふと指先の痛みが薄れているコトに気づき、少し肩の力を抜いた


そんな夏希には1つの確信があった


もう少しで私は死ぬ――

そして吸血鬼へと新しく生まれ変わると



暫くして月の光が夏希を照らし始めた時、指先だけでなく体全体の痛みがひいていった


痛みが完全にひくのを待ち続けている内に、夏希は新たな発見をした



……聞こえる……声が…
それに車の音も……

匂いだって、分かる



そうこうしている内に夏希は痛みが完全にひいたのを理解した



ふぅ、と深く息を吐き出し吸ってみると身体に違和感を感じた


身体に、空気が、酸素が必要ないのだ


丸まった態勢のまま瞳を開くと、そこは美しい世界だった


全ての五感が発達しているのか、人間だった頃は分からなかったモノが分かるようになったのだ



驚きの連続に夏希は立ち上がってみる事にした


が、身体が有り得ない程、俊敏に動くのだ

「――有り得ないわ」


っなに、今の声!?
私の……声じゃない……!

動転するが、数秒の内に夏希は納得した



――吸血鬼になったんだから、当たり前、か

全てが今までと一緒、なんて淡い期待は抱かない
何があっても変わろうと、私は私なのだから


天に輝く赤い満月に夏希は誓った




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