産まれて暫くは龍の姿のままと言われた私は、早く人形になりたいと思っていた


そんな時、私にお目付け役がつけられることになった

私があまりにもお転婆だったためだと考えている


最初はあまり気にしていない宝華だったが、流石に無理だった


「宝華様、お目覚めの時間でございます」


「宝華様、沐浴の時間でございます」


「宝華様、お勉強の時間でございます」


「宝華様、そのようなことをされて、お戯れがすぎますよ」


毎日のよう宝華様、宝華様
どこへ行っても着いてくる

宝華も限界だった


「疲れた…どうしてこんなことになったのかしら?」


1人呟くが、すぐ後ろには悩みの元凶が立っている


「はぁ……」


「どうされました、宝華様」


溜め息をついた私を心配げに見つめる、無駄に美形な男性


「ねぇハク、少し1人になりたいのだけれど……」


「申し訳ございませんが、それは致しかねます

私は宝華様のお目付け役でございますので」


控え目にだが、はっきりと断られた宝華は溜め息をついた


「…はぁ……」


「申し訳ありません
邪魔ならば、私が宝華様の影に入るということも出来ますが…」

「影?どういう意味?」


知らぬ単語が聞こえて来たので、宝華はハクに問うた


「そのままの意味でございます、宝華様

私が影に入れば宝華様も私を気にすることはないですし、私もお目付け役として仕事が果たせますので……」


どうでしょう?と聞かれた宝華は、少し悩んだが頷いた


「じゃあ入ってみてくれる?」


様子見したいから…と宝華が告げるとハクは頷き告げる


「では失礼させていただきます、宝華様」


するとハクの姿が溶けるように薄くなったかと思うと、私の影にするりと入り込んでしまった


≪どうでございましょうか、宝華様≫


不思議なことに、ハクの声がどこからか聞こえる


「……面白いわね、それ
まぁ、まだ影の方がマシみたいだから、ハクは影に入ってて」


≪御意に≫


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