≪宝華様、宝華様!
そのように翔ばれては危のうございます≫
≪ああ、宝華様!そちらに行かれては駄目でございます≫
みなの叫びが聖域に響き渡る
全ての原因は、私
産まれて3日もたてば、自分のことは分かるようになっていた
そんな私は、行動を開始した
とにかく探索をすることにしたのである
守役がいるので、抜け出すのは難しいが私はやってのけた
(……空を翔べるのは良いわ)
そう。龍としての私は、空を翔ぶことができるのだ
それに味をしめた私は、聖域を翔び回っていた
聖域というのは、母上のいる宮から半径3qに渡る空間を意味する
この聖域が、私の世界だ
そして聖域と言うだけあり、母上は神だった
私が龍という時点で母上も龍かな?とは考えていたが、実際は予想以上だった
「宝華や、母に聞きたいことがあるのであろう?」
「…はい……母上は、何者なのですか?」
ようやく落ち着きを取り戻した私は、不思議に思っていたことを聞いた
産まれたばかりで会話をするのは可笑しいが、普通だそうだ
なんたって、私は龍なのだから
「妾は、いわゆる神じゃ
名は闇御津羽神」
この時ばかりは、驚きに目を見張った
流石に神様というのは予想していなかったから
まぁ、そのおかげで私は現実を理解した
神の娘として、私は新たな世界を生きるということを
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