高淤加美神(たかおかみのかみ)がこの聖域に来ている

ハクからそう聞いた宝華は、久しぶりに宮の外に出ていた

影に控えているハクに母の好きな酒を持たせ、自分は悠々と空を飛ぶ

母様は見た目によらずに大酒飲みだし、高淤様に至っては酒を水のように飲むのだ
そんな量の酒を私が運べる訳もなく、すべてをハクに持たせているのだ


そんな私たちが向かうのは、母様の宮
そこに母様と高淤様がいらっしゃる


「ねぇハク…」


≪何でございますか、宝華様≫


「……未来は、変えられるものなのかしら?」


≪未来、でございますか?

……そうですね、私は未来とは不確かなものだと思います≫

それ故に、人間は諦めずに生きているのでしょう?


そう話すハクは、諭すように告げる
まるで私の悩みが分かっているかのようだ


「………ハクは本当に、そう思うの?」


≪はい≫


真摯に答えるハクに、私はようやく笑みを浮かべることが出来た

ハクの言葉で考えるだけ無駄、それぞれ考え方なぞ違うと気付いたからだ


「ふふふ、そうね」


ハクの言葉にようやく自分らしさを取り戻すことが出来た


「さ、母様と高淤様に会いに行きましょう
お会いするのも久しぶりですもの」


≪そうでございますね≫





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