神の娘として生まれた私は、人間だった時との違いに驚きを隠せないでいた
食事に睡眠は必要ないし、不思議な力も備わっている
あぁ、本当に私はヒトじゃなくなったんだ…と実感した
ただ1つ良かったコトがある
それは、人間だった時から持っていた、未来を見る力
それがこの姿になってから強くなり、様々なコトが分かるようになった
……人間だった時は異端な力を持っていたことで、他人との関わりを拒絶していたから
神の娘としては、この力を持つことは普通だし誇らしいことなのだとハクから聞いた
それが何よりも嬉しかった
未来見が普通の力だと知った時の喜びは、大きかった
しかし、未来見の力が増大したことにより、私は悩み始めた
だって、近くのヒト以外の未来をも感じるようになったから…
母様やハクの未来は勿論のこと、聖域以外に出たこともないのに、人間の未来が見えるのだ
会ったこともないのに、その見知らぬ人間の未来が見えることに、私は恐怖した
死の場面が見えたり、裏切りの場合が見えたり……
そんなものを見ている内に、私はある事実に気が付いた
見える人間が所謂、古い時代の服を着ていたのだ
よく分からないが、平安時代の時のようだ
しかも、私は見てしまったのだ
着物のようなものを着ている女性が、異形の者に襲われるのを
それを見てしまった時、私は涙が止まらなかった
人間の死は何度も見てきたが、彼女の死に様は、本当に酷かった
そして、それらの異形を退治る者がいることも知った
陰陽師、だと私は気付いた
前世でも、それなりに有名だったから
幾つもの未来を見るたびに、私の予想は当たっていると感じた
ここは、あのときの私が生きていた時代より遥かに昔
そして、陰陽師や神が存在する世界だと
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