交わった道 | ナノ
ロニ





部屋着に着替えた私は、少年について考えていた
というか、逆トリップ?とか考えていた

だってエースそっくりだし、この部屋の鍵は私しか持ってない
本当にセキュリティは万全なのだ

そこに少年が転がっていて、しかもエース似ときた


(逆トリだよね、これ…夢小説でよくあるパターンだよね、これ)


冷静になった頭でそう考えていると、急にテレビの音がした
と同時に、少年の叫び声がした


「ちょ、近所迷惑だから!叫ぶなよ、バカ!」


慌てて少年にそう叫ぶと、少年はテレビを見て驚いていた


「おい、コレなんだよ!人がハコん中でしゃべってる!!」


「いいから落ち着け!テレビっていって、安全なものだから」


安全という言葉と私の落ち着いた姿に、ようやく少年は落ち着いた
というか頬を赤く染める姿が、すごくかわいい
急に静かになったのは、自分が恥ずかしくなったかららしい


「で、キミの名前は?
ここ私の部屋なんだけどさ、不法侵入だよね」


真実を確かめなければと思い、名前から聞くことにした
すると素直に少年は答えてくれた


「エース…ポートガス・D・エースだ」


「そー、エースって言うんだ…」


予想通りの答えだ


「私は瑠依って言うの、ヨロシクね」


一応自己紹介だけはしておいた
しかし、こんな摩訶不思議な事態が本当に起こるものなのか
夢小説の中だけじゃないわけ?


「あのさ、ここ、天国とか地獄じゃねェよな?」


「天国と地獄?頭、だいじょうぶ?」


唐突にそんなことを言われ、ついついそう答えていた
それにエースはむくれていた


「オレ、死んだはずなんだよ
そしたらココにいた」


「死んだはず……?」


その言葉に、あの決戦が思い浮かんだ
白ひげ海賊団とルフィの命がけの決戦が…


「でも、エースは生きてここにいる
―――ま、世界は違うけどね」


「世界が違う?」


胡坐をかいて座るエースはそう問い返す


「だってエースは海賊でしょう?この世界にはエースたちみたいな海賊は存在しないもの」


「あー、マジで…?」


ガシガシと頭をかき、エースはそう呟く

それに頷き返した私は、これからの未来を想像し笑みを浮かべるのだった






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