オレは『生まれてきてはいけない子供』

そして、『鬼の子供』

オレはそう、言われ続けた
いつしかオレはそれが正しいのだと思うようになっていた

…………オレの命なんて、あってもムダだと………




「……ス………エー…ス……!
起きろエース!」


がつん!と頭に鈍い痛みを感じたオレは、重い瞼を開けた


「ようやく起きたかよ
あーあ、なんでオレがエースの目覚まし係なんだかなァ

やるなら可愛い女の子がいいってのによー」


自慢のリーゼントを撫でながらそう言うのは、4番隊隊長サッチ

おちゃらけた感じの良い兄貴ってヤツだ


「……わり、サッチ」


毎度のことながら罪悪感はあるが、どうしても起きられないのだ


「ま、いいって!かわいい末っ子だしなー」


んじゃ、飯だから来いよー、とサッチは部屋から出ていった

それを寝惚けた頭で見送ると、オレはむくりと起き上がった


(……イヤな夢、だったな)


すでに夢の内容は朧気になっているが、それだけは覚えている

とにかく、胸が痛くて痛くて


暫くはベッドに座り込んだままだったが、遠慮なく鳴った腹の虫をキッカケにオレは立ち上がった


適当に準備をして食堂へ向かう間にも腹は鳴り続け、いつの間にか頭の中は朝飯のコトで埋まっていた


「おい、エース!」


食堂に入ると自分を呼ぶ声が聞こえ、そちらを向くとサッチが手を振っていた

呼ばれているようなので、オレはそちらへ歩き出した


「サッチ!」


「おう、エースの飯、準備しといたぜ!」


サッチの指差す先に、美味そうな飯が山程あった


「うわ、美味そうだな!ありがとな、サッチ!」


礼を言い、オレは席につき飯を食べ始めた


「……相変わらず、朝からよく食うねい」


顔を上げると、目の前に呆れたような顔をしたマルコがいた

オレは慌てて口の中にある飯を飲み込み、マルコに言った


「おはよう、マルコ!」


それにマルコはおぅ、と答えコーヒーに口をつける


マルコって、なんかカッコいいよなあ…様になってるってかさ

飯を食べながら上目遣いにマルコを見やる

コーヒーだっていっつもブラックだし、いつでも冷静で頼りになる、それに――――――
マルコの炎は、キレイだ

空と海を切り取ったような美しい青は、誰もが見惚れるとオレは確信している

初めてマルコの青い炎を見たとき、オレはマルコに見惚れた

なによりも、だれよりも

あの美しい炎はマルコにしか扱えないし、マルコだからあんなにもキレイに輝く


「……マルコってさ、キレイだよな」


思考のまま、オレはそう呟いてしまったらしい

隣のサッチと真っ正面のマルコが、固まったのが分かった

慌てて口を押さえたが、出てしまった言葉は返ってこない


「いや、その!違うんだって!間違った、間違ったんだよ!」


慌てて弁解するが、サッチのゲラゲラ笑う声に頬が染まるのを感じた


「笑うなってば!」


「ぶはっ!だってよ、あのマルコがキレイ?

笑うしかねェーだろ!」


ゲラゲラ笑い続けるサッチに、エースは俯き呟く


「……だって、マルコの炎は空と海の色だろ?

だからキレイだと思って……」


海賊なら、空と海を愛するのは当然だろ?


「あァ、そういうことかよい」


「なんだよ、面白くねェな!」


納得したのか、ようやく固まっていたマルコが復活した

サッチは頭を振りつまんねェ、なんて言っている


「あの食欲しかねェ末っ子が、ついに!なーんて思ったが、そうだよなァ色気より食い気だもんな!」


サッチがようやくそう言ったことにより、話は終わった

安心したオレは、また目の前の美味い飯を食べ始めるのだった



―――――――――――――――
あれ、マルエーのはずがサッチ夢?マルコよりサッチのが出てる気がする






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