「サクラ!バナナがいるぜっ」


「バナナ?バナナなんかないじゃんか、ナツキのうそつき!」


幼い子供の高い声がモビーに響き渡る

聞こえた隊長たちは吹き出すのを堪え、船員は即座に耳を塞ぐ


「バカ!あそこにいるだろ、よく見ろって!」


「あっ見つけた!ホントにバナナだーっ!」


可愛らしい、微笑ましい

しかし、内容が内容だ
いつもすぐに笑うサッチやエースがいないこともあり、どうしたらいいか分からない


「ママに教えてあげよっか?」


「母さんは、きょーみないだろ
なぁ、近くに行こうぜ!」


「うん!」


きゃらきゃら笑う幼い子供たちは、座り酒を飲んでいる白ひげ海賊団の中をすり抜けていく

バナナもといマルコは眉をピクリと動かしている

一緒に飲んでいた船員(クルー)も、無言だ


「サクラ、どうする?話しかけてみるか?」


「うん!バナナと友達になるのーっ!」


2人は小声で話してはいるが、ここだけ異様に静かなので聞こえてしまう

面白いもの好きな奴らは、聞き耳を立てている


「あの、名前おしえてください

オレはナツキ!」

「わたしはサクラ!お兄さんの名前は?」


2人はにこやかにマルコに話しかける
話し方が丁寧なので、マルコも怒るに怒れず頭をかいた


「……マルコだ

ナツキにサクラは、魔女んとこの船員か?」


「うん!お兄さんは、たいちょーさんなんでしょ?」


「母さんが言ってた!たいちょーはすんげー強いって!」


興奮気味にそう喋る幼子を、マルコは呼び座らせる


「まぁ2人共、座れよい」


2人は瞳を輝かせると、マルコの目の前にチョコンと座った


「お兄さんはどれくらい強いのー?ママよりも強い?」


「サクラ、母さんが一番に決まってんだろ!

そりゃ、マルコも強いだろーけどさ……」


少年が少女にそう言うのを見たマルコは聞いた


「魔女をママと母さんって呼んでるのかい?」


「「「うん!(ああ!)」」」


笑う2人を見たマルコは、興味深そうに聞く


「魔女が、母親ってことかい?
てか、なんでガキなのに海賊船に乗ってんだい?」


「…………オレらは、みんな母さんに助けられたんだよ……」




「……わたしたちは、みんな海軍や世界政府のやつらのオモチャだったの………」


2人は、交互に話す
面白いものを見れる聞けると話を聞いていた白ひげ海賊団は、息をのんだ

これは、一線を越えた内容ではないのかと


「母さんの船に乗ってるのは、みんな実験体だったヤツらだ

オレも、ある施設から助けられたんだ……」


「わたしも、研究所から助けてもらったの……」


暗い顔をしていた2人に、マルコは慌てた

踏み込んではいけない場所に、入ってしまったと……


しかし2人の幼子はすぐに笑顔を浮かべた


「でもね、今は幸せ!ママがいてお兄ちゃんがいてお姉ちゃんがいるから!」


「オレらは、母さんがいたから今まで生きてこれた

今は、幸せだからいいんだよ!なぁサクラ?」


「うん!」


2人して笑顔を浮かべるので、マルコも息をはいた


「よし、んじゃあ飲めよい!」


オレンジジュースとリンゴジュースを差し出された

これはセロンの船から持参したものだ
ジュースなど、白ひげ海賊団にあるわけがないのだから


「やった!わたしはリンゴジュースにするー」


「オレはオレンジかな……」


マルコはそれを聞き、2人にジュースを差し出す


「ありがとう、お兄さん!」



「よし、マルコとも話せたし母さんに報告だな!」


「ママ、きっと喜ぶよ!ね、ナツキもそう思うでしょ?」


ああ!と頷くナツキをみたマルコは首を傾げた


「なんで魔女が喜ぶんだよい」


「「「オレたち(わたしたち)に友達が出来たから!」」」


一瞬戸惑ったマルコだったが、2人の幼子に優しげな微笑みを向けるのだった






prev next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -