目の前に、海賊船が停止した
白ひげ海賊団は、固唾を飲んで見守る

敵船から乗り移ってきたのは、一人の美しい少女と巨大な狼

モビーはざわめきに包まれた

カツン、カツン、と靴を鳴らし歩く少女は真っ直ぐに白ひげのもとへ向かう
そのすぐ後ろを、巨大な白い狼がついて歩く


「初めまして、私はセロン」


「グララララ、オレが白ひげだ
で、何の用でここへ来た」


単刀直入に聞く白ひげに、魔女は頷いた


「その前に、これを」


少女の言葉と共に、狼が親父の前に出て背負っていた荷物を置く


「ほんのご挨拶の品です
白ひげは大の酒好きと聞きましたので……」


「グララララ、気が利くなァ
ありがたく頂くぜ」


セロンはそれに頷いた


「今日はある方にお会いしたいと思って伺いました」


「ある方だと?誰だ、そりゃ」


白ひげが問えば、隊長たちや船員も首を傾げる

白ひげ海賊団に、魔女の知り合いがいるとは思えないから


「火拳のエースに」


ざわつきが酷くなり、中には殺気も混ざるようになっていた

セロンはそれに眉をしかめ軽く覇気を使い、狼は唸り声をあげる

バタバタと倒れる音がするが気にせず告げた


「エースとは、昔馴染みなの
白ひげと敵対する気はないわ」


「グララララ、エースだったとは意外だなァ

マルコ!エースはどこだ!」


白ひげはすぐそばに控える男に問いかける


「さっきまでは一緒だったんだけどよい……」


マルコは首を傾げる


「マルコ、エースならあっちで寝てたぜ!」


マルコにそう告げたのは、隊長格の少年


「ハルタ、連れてこいよい」


マルコの言葉に頷いた少年は、歩き出し、すぐにエースを連れてきた


「魔女なんてオレは知らねェぞ、ハルタ!」


「でも、魔女がエースとは昔馴染みだって……」


騒がしく2人は登場した
エースは、甲板に立つ一人の少女を見つけた

懐かしくて懐かしくて堪らないその少女を


「ッセロン!」


「エース!」


エースは名を叫ぶと、バタバタと駆け寄り勢い良くセロンを抱き締めたのだった






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