老人から聞いた話は、ユウナにとって信じられないものだった


「信じられないと思うのは仕方がないだろう

しかし、本当のことなんだ」


信じてくれ、と老人は話す

その隣で顔の整った男性は、ただただユウナを見つめていた


「……大きく、なったな」

ふいに男性が呟いた

その声には、様々な感情が入り交じっているような気がした


「……彼がユウナさんの、お父さんですよ」


「……!」


ユウナは、改めて父と名乗る男性を見つめた

美形な男性だというのは、初めて見た瞬間から分かっていた

しかし、彼の美しい蒼い瞳を見た瞬間私は悟った


(……お父さんだ)


彼の瞳には、私を心配するような嬉しいような…
そして、ユウナへのたくさんの愛が込もっていた

ユウナは、きちんとそれを感じ取っていた

老人の瞳もそのような気持ちが込もっていたが、目の前の男性ほどではなかった


「ほんとう、ですか?
ほんとうに、わたしの……」


「そうだよ
私も、ユウナさんの祖父だ

お帰り、待っていたよ」


微笑む老人を見たユウナに、深い安堵感が広がった

瞬間、幼い身体が崩れ落ちた

慌てて2人の男性は駆け寄り、ユウナを抱き上げた


「…良かった、眠っているだけのようだ」


「良かった……!これ以上、娘に何かあったらオレは…」


顔を苦しそうに歪め、男性はそう呟いた


「……とりあえず、家に連れていこうか

彼女には、ベッドが一番必要なようだからね」


ゆったり話す老人はユウナを男性に任せ立ち上がった


「さぁ、君はユウナさんを連れて屋敷へ行きなさい

私は少し、調べてから行く」


辺りの森を見渡し、老人は告げる

「わかりました」


男性は頷きユウナを抱き上げると、瞬時に姿を消した


その姿を見送った老人は、ゆったりと歩みを進めるのだった



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -