キミのために、(花田)




「……もうムリだ」


「…え、……」


目の前の田島は、茫然としたままそう呟く

オレの言おうとしている言葉を、感覚的に理解しているのかもしれない

涙を浮かべるキラキラ光る黒い瞳を見ているうちに、決意が揺るぐが堪え口を開く


「なぁ花井……ムリって、どーいう意味…?」


「まんまだよ。別れようぜ」


「ッ!」


ついに田島の瞳から、涙が零れ落ちた

田島の瞳からは、はらはらと止めどなく涙が溢れる


(……田島の泣き顔が、1番嫌いだった)


笑顔が似合う田島だから、オレは泣かせたくなかったのに

オレが、泣かせている…

胸が苦しくて苦しくて、どうにかなりそうだ

でも、オレが言わなきゃ


(ホントは、こんなこと言いたくねぇのに)


これはキミのためだから、オレは勇気をもって告げるんだ


「んじゃ、そーゆーことで」


田島に背を向け、オレは歩き出した


何よりも大切な存在を、オレは自ら手放した

キミには、誰よりも輝いていてほしいから

オレの存在がキミの足枷になるくらいなら


(……オレは、お前のために身をひこう)


だから、お前はオレを忘れて進めばいい



輝かしい未来に向かって










prev next

bkm


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -