しあわせのキョリ(花田)


「はーなーいーっ!」


「うおっ!危ねぇぞ田島」


ガバッと花井に抱きつく田島


「部誌終わったかー?終わったなら帰ろうぜ!」

「もうちょいかかるな……なんなら先に帰っててもいいぞ?」


「んーん、待ってる!」


「でももう9時過ぎてるし、わりぃよ」


ペンを手に持ったまま振り返る花井に、田島はニカッと笑顔を見せた


「俺は花井と一緒にいたいからいーのッ!」


「ッ!」


田島の言葉に頬を赤く染める花井は内心テンパっていた


やべぇよ田島のやつ!
なんでこんなに可愛いこと言うんだよ!

お前に、触れたくなっちまうだろうが


「――それとも花井は俺がいるとめーわくか?」


シュンと落ち込んだ表情を見せる田島に慌てた


「ッんな訳ねぇだろ!」


俺は咄嗟にデカイ声で否定の言葉を紡いでいた


「……そっか!なら良かった」


田島の言葉を聞きながら花井の手は高速に動き、部誌を終わらせていた


「終わったぜ田島」

「マジ!?なら早く帰ろーぜ!花井、つかれただろー」


顔を覗き込む田島に花井は胸を高鳴らせた 俺、ホントにこいつのこと、好きなんだよな
首を傾げる姿なんて、可愛いの一言だろ


「ん、どーした花井、急に固まって?」


「いや、なんでもねぇ
うし、帰るか!」


戸締まりを確認し、鞄を持ち部室を出る


「……田島、手」


ギュウッと自分より一回り小さい手を握りしめる


「……待っててくれて、ありがとな」


後ろを見ずに田島の手を引っ張り歩く

照れからかボソッと呟くだけだったが、田島には聞こえた

優しさが込められた、その一言が


「……へへ、花井もお疲れ!」


その言葉が嬉しくて嬉しくて、田島は自分より一回りも大きい手をギュウッと握り返すのだった


好きな奴と歩けるしあわせ







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