麗香が父、吉昌と話している頃、昌浩は着替えを始めた所だった


「おい昌浩!そろそろ行かないと晴明がうるさいぞ」



昌浩の隣できゃんきゃん騒いでいるのはもっくん

本当の姿は十二神将騰蛇だが、訳あってこの姿になっているのである


そのもっくんに昌浩は言った



「わかってるよ、もっくん!

今着替え終わるんだから少しは静かにしててよね」



確かに昌浩はもう着替え終わるらしい
今はすでに髪を整えている



よし、と頷いた昌浩を見たもっくんは口を開こうとしたが、部屋の外から声がかかり黙った


聞いた事のない声に昌浩を首を傾げながらも返事をした


「はい?」


「昌浩、麗香です」



その名前にいち早く反応したもっくんはバンッと扉をあけ声の主を見上げた



「!麗香なのか……」



問いかけられた麗香は視線を下に移し、納得した




「紅蓮、久しぶりね」



「っ帰ってたのか……」


「ええ、昨夜」


「にしても大きくなったな」


ピョンと麗香の肩に飛び乗りもっくんは言った




「――あれから3年が経ちましたから」


目の前で交わされる会話をキョトンとした表情で見つめる昌浩をもっくんがからかった



「おいおい昌浩や!まさか麗香を忘れたって訳じゃないだろう?

それとも綺麗すぎて言葉も出ないのか」



ニヤニヤしながら昌浩を見上げたもっくん

その言葉に固まっていた昌浩が戻ってきた




「……あね…うえ………?」



呆然と麗香を見上げ呟く昌浩を見たもっくんはニヤニヤ笑った




「そうですよ、昌浩
昨夜、帰って参りました」




ふわり、と上品に微笑んだ麗香に昌浩は慌てて言った



「お帰りなさい姉上!」



昌浩の言葉に笑顔で返すと麗香は告げた



「私も昌浩と話したいのですが、まずはご飯にしましょう?

お祖父様達が待っていますし」




麗香の言葉に昌浩は慌てる



「ヤバい!じい様に怒られる」



行きましょう姉上!と昌浩は麗香の腕を掴み、ずんずんと進む

後ろからもっくんの『この可愛いオレ様を置いてくなぁーーッ!』という叫びが聞こえたが麗香も昌浩も無視していた


「それにしても昌浩は、大きくなりましたね」



ほわりと微笑んだ姉の姿に昌浩は赤くなる

「あ、姉上も、綺麗になりましたねッ!」



「ふふふ、ありがとう
昌浩も格好よくなって、見違えるかと思ったわ」



麗香の言葉に昌浩は真っ赤になっていた

そうこうしている内に台所に着いた2人



「おお昌浩や、随分遅かったのう」


「う………」


言葉に詰まる昌浩を見た麗香は微笑み言った



「まぁまぁお二人とも

まずは朝ごはんにしましょう」


麗香のこの言葉によって、懐かしい家族での楽しい食事が始まっるのだった






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