イヤーーっ可愛いなんて言われたの初めて!照れる!今なら照れて死ねる!


内心でギャーギャー叫ぶハルカ



「……丸聞こえだぞ」


ボソッと呟くカイト



「っ!有り得ないーーっ」



「ぶふっ!お嬢さんったら、面白いなっ!

こんな面白いお嬢さんは初めてだぜ」



吹き出すジンに笑いを堪えているカイト

ハルカは恥ずかしさを越えて. 冷静になった



う、恥ずかしさって度を超えると冷静になれるんだ…

ああお母さん!トリップ経験者のお母さんはどうやって過ごしてたの?!早くも私はホームシックですお母さんっ!

あ、でもハンターの世界って運が無かったらジ・エンドだよね…?
私を待つのは“死”なんじゃないの?だってまだハンター試験とかゾルディック家編あたりなら生きてられるけど、蟻が来たら終わりじゃない……?

餌になって終わりだよ、絶対!
私まだ死にたくない!人生エンジョイしてから死ぬんだっ




「あのっジンさん!お願いがあります、私に念を教えて下さい!私、ハンターになります!」




「「「「……………は?」」」」ジンとカイトの間抜けな声がハモった

数分前までは2人とも、『なに百面相してんだ?まぁ見てて飽きないけどよっ』と、のんびり過ごしていた筈だ


その2人もハルカの言葉に間抜けな声を出してしまったが



「――ハルカはハンターになりたかったのか?

オレはてっきり自殺願望者かと……」



う、確かに言い返さなかったけどさぁ…
私はまだ死にたくはねぇよ、カイトさんっ!



「ほう…念を知ってんのか…?
よし、面白そうじゃねえか!オレが責任持って教えてやんよっ」



笑いながらそう言うジンにカイトが驚いていた



「ジンさんっ?!なに軽く言ってんですかっ!
オレの修行だってまだ終わってないのに……」



へー、カイトってまだ修行中なんだ、んじゃ原作はまだまだ先かな?


うわ、んじゃ原作時は私、ババアじゃね?いやだなー

まぁ先の事は気にせずに行こう!それまで生きてられるかも分かんないんだしねっ!

アハハ、自分で言ってて笑えねーよ……



「カイトだってライバルがいた方がいいだろ?

2人で競り合い成長すれば、一石二鳥!」
「ありがとうございますっ、ジンさんっ!

カイトさんもヨロシクお願いしますねっ」



私、まだ死にたくないんで!精一杯頑張ります!と言うとカイトは仕方無ぇな、と苦笑いしてくれた


うし、生活は確保した!きっと樹海の生活だろうけどねっ

私、森は好きさっ



そんなこんなで私、ハルカの新たなる世界での生活が始まった

どうにか死なないで行けそうだ、という事に深い安堵感を覚えたハルカだった


その夜、もとの世界の夢を見たハルカ



『ハルカ、頑張って生きてね?お母さん応援してるわ!

慣れれば新しい世界も楽しめる筈だからー』



ニコニコと話す母を見てハルカは頭痛がしてきた



『なんてアバウトな……てか何で夢の中でお母さん?』



『あらアバウトが1番よ、ハルカ?深く考えると、一歩も進めなくなるわっ

私も色んな力を持ってるから夢の中でハルカと会うなんて簡単なのよっ』



『あ、そうなんだー』


『あ、多分いつかは帰ってこれるだろうけど、念で能力創りなさいねー?

じゃないと不便だからっ!お母さんも能力創ったしね』



ペラペラとマシンガントークをしていた母の言葉を聞き驚いた



『んじゃお母さんもこっち来れるじゃんっ!?来て!お願いだからこっちに来てーっ』




『あらあら甘えん坊ねえ…でもお母さん仕事があるし!

でも暇になったら遊びに行くわね?あ、ジンには会ったかしら?お母さんの大切な人だからよろしく言っといてちょうだい』



『……は、ジンが大切な人?』



『そうよ!あ、ジンの念の教え方は大雑把だから気をつけてねー、お母さん何回ジンをぶん殴ったか分かんないわー』



『…………気をつけるわ』『ハルカも頑張って生きてね…?お母さんも夢の中で会いに来るから!

いい、人間というのは生きるためにいつも何かを犠牲にしてるわ

人間は犠牲無しでは生きられないのよ?それを忘れないで』



『犠牲?』



『そうよ。ハルカ、いつまでも甘い考えだと後から後悔する事になるわ

いつか訪れるであろう未来を考えておきなさい』



『未来?もしかして人を殺す未来って事?』




『……私の可愛い娘。お母さんはいつでも貴方の味方よ?

それと今まで内緒にしてたんだけど貴方にはちゃんとお父さんもいるのよ?

それを忘れないでね、もう少ししたら私もそっちへ行くから

それまではどうにか1人で頑張ってね』



『は?私に父親?

だってお母さんたら、お父さんとはもう会えないのよ……なんて言うから

死んだんじゃなかったの?』



『あら、死んでなんかないわよ!まぁハルカもそっちの世界にいるならいずれ分かると思うわ

それまで楽しみにしてなさい、お父さんは結構有名だから』『……お母さん、流石に呆れるんだけどさぁ

まぁ父親がちゃんと生きててこっちの世界にいるのわ理解した

まぁ適度に頑張るわ』



『ふふふ、頑張ってね!

あ、念の修行は毎日するのよ?それと他の漫画の技も使えるようにしなさいよ

そうすれば生き残れると思うわ』


『……わかった。お母さんも身体に気をつけてね?
私、今はジンと一緒だから死にはしないと思うから安心してっ!

お母さんが来る頃には強くなって待ってるから!』



『ふふふ。それでこそ私の娘よ

それじゃあね』



『うん、バイバイ』



お母さんと別れの挨拶をすると同時に目が覚めた


周りを見渡すと木、草、木



ああ、ハンターの世界か
でもお母さんに会えたから、大丈夫…

よし、絶対生き抜いてやる!そして父親探しだー!


この世界での目標を見つけたハルカの瞳は輝きを放っていた




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