それは突然だった
部屋で寛いでいた私をいきなりの眠気が襲った

睡魔に抗ったがすぐに私は意識を飛ばした



――そして目が覚めた時には見知らぬ男と共にいた


辺りを見渡すと焚火がしてあり、魚が焼かれていた




「――あの……」



「ああ、目が覚めたか?」


男は安心したように笑い、焼けた魚を差し出してきた


グゥゥー


ッお腹なった!目の前に差し出されたおいしそうな魚を見て、素直な私のお腹は鳴り響いた



「腹減ってたんだな…ほらよ」


苦笑いしながら焼きたての魚を差し出された


「あ、ありがとう」


目の前に美味しそうな焼きたての魚を素直に受け取り礼を言う


男は自分も焼き上がった魚を手に取り、おいしそうに食べ始めた


――誰か知らないけど、お腹が減ってちゃね



「いただきます」



男を見習いハルカはパクっと魚にかじりついた


数分間はどちらも無言で食べていたが、食べ終わった男が話し掛けてきた



「――なぁお前、名前は何て言うんだ?

オレはカイト、ハンターだ」




……今この人何て言った、ハンターって言わなかった?

どっかで見た顔だなぁ…とは思ってたけど、まさかHUNTERxHUNTERの世界だとはね……


あぁお母さん、貴方の言っていた事は本当でした

ついに私もトリップ経験者です



「なぁ、お前大丈夫か?急に固まって…」



「あ、大丈夫です!
……あの、ここ何処ですか?私、こんなトコ知らない…」



「ここはヨルビアン大陸のちょうど西のヨークシンの奥地だぜ」



――ヨークシン……?
こんな名前の街、聞いたこと無いしやっぱりトリップ決定か…

はぁ、ハンターハンターったら結構危ない世界じゃん、死んじゃったらどうすんだよーーーっっ



「ヨークシン、ですか……?」


「?ああ、でお前は何でこんなところに居んだ」



――おかーさんっ!こーゆう場合は何て答えれば良いのーっっ

素直にトリップ?それとも記憶喪失?いやいや迷子?

どうする、どうする私?


「……えーと、あ、自己紹介まだだった!

私はハルカって言います
カイトさん、ご飯ありがとうございました」

答えが浮かばずハルカは自己紹介をし紛らわした



「――ああ、どういたしまして

にしても森ん中で寝てるからビックリしたぜ」



「……アハハ、私もビックリですー」



空笑いをすると訝しげにカイトはこちらを見てきた




「――こんな人里離れた森に一人なんて……

まさかハルカ、お前自殺しようとしてたのか……?」



……はい?何と仰ったんでしょうかね、カイトさんは

自殺?アハハこれこそ無いわ

でもたしかに理由ったってな
よし、私は自殺しにこの森に入ったか弱い女のコ!って事で



「…………」




「無言は同意ととるぞ……?

だけど何で自殺なんか、ハルカはまだ若いだろ」



イヤじゃなかったら話してみな、と優しく促された


流石に心が痛んだがハルカは無言を貫いた


数分間沈黙が支配した



「はぁー、言いたくねェなら仕方無いか」



苦笑いをしながらもそれだけで許してくれるカイト



「オレはここには修行で来てるんだ
いるのはオレと師匠のジンさん、だからオレはジンさんに認められるまではハンターと名乗れねぇんだ」ジン……?たしかゴンのお父さんでメチャメチャ強いんだっけか

カイトがまだ修行中って事は原作の前、って事だよね……

原作に絡もうとは思わないけど、これからどうしよ……



「そうなんですか……」



ガサガサ
ハルカが言うと同時に木が揺れる音がしたかと思うと、一人の男が現れた



「カイト、魚は採れたか?」


こっちは肉、採ってきたぜ!と瞳を輝かせた黒髪の男性が現れた


「魚は採りましたよ、ちゃんと それと果物も」



「そうかっ!で、その女の子は……?」



瞳をこちらに向け尋ねる
カイトは師匠、ジンに説明を始めた



「森ん中で寝てたんで拾ってきました
流石に危ないと思ったんで」



で、魚食って今に至ります、と簡潔に述べた


「簡潔すぎねぇか……?ま、いいか!で、お嬢さん名前は?

オレはジン!ハンターだ」


しゃがみこみ視線をあわせ名前を言うジンに戸惑った


「……ハルカ、です」


この人の瞳、コワい
嘘なんかつけない位、真っ直ぐだから……


「そうかっ宜しくな!

さっ飯だ飯!腹ペコだぜ」

ハントしてきたらしく、後ろに豚を横たえている

私達が挨拶をしている間にカイトがその豚を捌き、料理を始めていた

といっても、ただの豚の丸焼きだが

その肉を切り分けていたカイトからハルカも肉を受け取った



「おっ旨そうだなっ!」


早くもジンは肉を食い始めていた
ハルカはそれを横目で見ながら肉を食べ始めた


心の中でいただきまーす、と挨拶をした
一口かぶり付いてみるとジューシーな肉汁が広がった

っ美味しい!なにこの豚肉、こんな美味しいの初めて!
ヤバッ止まんないー



「ぷっあはははっ

お嬢さん、そんなに美味いならもっと食え食え!」



「え?」


何でわかんの?とキョトンとしているとカイトが言った



「心ん中で言ったんだろうけど、喋ってるぜ、全部」




「……うそーーっ!
いやぁ恥ずかしいわぁっ」



カァァと頬を赤く染め叫ぶハルカを見てジンとカイトは笑った


「ハルカは笑ってた方が可愛いな」


「そうだな!お嬢さんには笑顔が似合うぜっ」



カイトにそう言われ、次いでジンにも言われ余計に頬を染めるハルカ



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