「ハルカ、貴方に秘密にしていた事があるの

実はね、私達の家系はトリップしてしまう家系なのよ」



「……は?お母さんったら頭、どうにかした訳?

トリップなんて夢小説くらいに決まってるでしょーが!そりゃ勿論行ってみたいよ、でも行ける訳無いじゃんっ!」



とある一軒家で母と娘が会話をしているが、内容が内容だ

母は普通に話しているが娘は半信半疑どころか、全否定だ



「あら、そんな事無いわよ

私も昔はよくトリップしたのよ
お陰で色々な力も手に入ったわ!」


ニコニコと笑いながら話す母を見てハルカは深い溜め息をついた



「例えばどんな?」



娘の問いに母はよくぞ聞いてくれた、と言い何が良いかしら?と悩み出した



「何が良いかしらって何が……?」



「ふふふ お母さんはね“HUNTERxHUNTER”とか“NARUTO”“銀魂”の世界にトリップしたのよ

お陰で戦闘力は世界一かも」


あのニコニコしている母の口から戦闘力が世界一かも、と聞くと何だか恐ろしい



「ま、まって!
それじゃお母さんは人を殺した事、あるの……?」



「――そうよ
他の世界は私達の世界みたいに甘くは無かったわ……
毎日が死と隣り合わせ、殺らなきゃ殺られる世界……
でもね、その分充実してたわ。毎日仲間と戦ったり……

ハルカもトリップしたら分かる筈よ

―――でもやっぱり人殺しのお母さんはイヤかしら……?」


人を殺したお母さん……でも殺さなきゃ今頃お母さんはここに居ない……

私も生まれなかった




「……ううん。私はどんなお母さんでも好きだよ

――生きててくれて、私を生んでくれてありがとう!」



にこやかにそう言うと母をほっと息を撫で下ろした




「良かったわ、そう言ってくれて……でもねハルカ、貴方もいつか選択を迫られる時が来るわよ?」

覚悟しておきなさい

真面目な顔で、母がそう言った


その会話から一週間が経ったある日

私は世界を渡った



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