カカシは森の中を叫びながら走り続けていた
何も反応がなく、カカシも諦めかけた時だった
ふいに声が、響き渡った
≪黙れ、人間≫
「っ!」
カカシは息をのみ、パックンは直ぐ様辺りに視線を向ける
≪この森を騒がすことは、許されない≫
冷たい声音は、そう告げる
しかし声の主が女性だということだけは分かった
≪永遠に森をさ迷わせようと思ったが、煩わしい
今ここで、死ぬがいい≫
この言葉にカカシとパックンは焦った
「待ってくれ!オレたちは眠り姫を保護しに来たんだ!」
カカシは慌ててそう叫ぶと説明を始めた
「オレは木の葉の忍、火影様の命でここまで来たんだ
火影様は眠り姫の眠りを妨げる者から姫を守れ、と」
≪……木の葉の忍に火影
懐かしい名だ≫
女性はそう呟くと、告げた
≪姫から聞いていた
木の葉の者が来たならば、殺さず通せと
では、妾が案内しよう≫
そう女性が告げると、目の前に美しい狐が現れた
「……狐?」
≪妾が人間だとでも思っていたのか?
ここは帰らずの森だぞ≫
「帰らずの森?」
狐の口から出た聞き慣れぬ地名に、カカシは首を傾げる
≪人間どもが名付けた名だ
……この森に入って帰ってきた者は1人もいないからな
お前たちはそうならなくて、よかったな≫
淡々とそう説明する美しい狐にカカシは顔をひきつらせた
≪では、ついてこい≫
狐はそう告げると、颯爽と走り出した
それを見たカカシとパックンは慌てて後を追うのだった
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