ガチャリと扉を開けると一面の暗闇が浮かび上がる

カカシは慣れた足取りで暗闇に身を進め、パチッと部屋の明かりをつける

生活感のない部屋だ

必要最低限の物しかないこの部屋は、冷たく寂しい印象を与える

が、カカシは気にせずにシャワーを浴びに向かった

珍しく任務がない今日、三代目から任務を聞いたが、あまり乗り気はしなかった

風呂上がりのカカシはベッドに横になったままそう考える


――、人を憎んでいるだろう眠り姫を捜すなんて
それ以前に忍がお伽噺の主人公を捜すなんて滑稽デショ……

愛読書をパラパラと捲りながら、眠り姫について考える


「ま、任務なら仕方無いか」


どんなに滑稽だろうと、めんどくさかろうと、任務は任務

今日はゆっくり眠れる、と思いながら、カカシの意識は闇に沈んでいった

が、その日は違った


『夢なんて久しぶり、だな』


キラキラ輝く森の中で、カカシは立ち尽くしていた

穏やかな天気に美しい景色
知らず知らずの内にカカシは穏やかな気持ちになっていた

そこに響く1つの声


『――探しに、来ないで』


『……!』

瞬時に身構えるカカシだが、武器になるものを身につけていない

夢だろうと、身を守るものが何もないという事にカカシは焦りを感じた


『――お願い、1人にして
私を、探しに来ないで……』


またも森の中に響き渡る声

カカシは悟った


『――森の眠り姫』


『……私には、まだ無理なの
だから、探しに来ないで』


カカシの言葉にそう返事をするが、姿が見えない

カカシは優しく話す


『危害は加えない
だから出てきてみない?』


『…………』


――沈黙が、続く


『……まあ、出てきてって言われて出てくる訳ないか』


知らない内に苦笑いが溢れる


『……私を探しに来ないで
私を探しに来たら、あなたに災いが降りかかる』

忠告はしたわよ…


その声を最後に、カカシは夢から覚めた

枕元の時計を見ると時刻は4時
まだ眠れる時間だ

だがカカシの目は冴え渡り、先ほどの会話をリピートしている


「災いが降りかかる、か

これでホントに何かあったらオレ、どーしよ」


アハハと空笑いをしてみるも、ただ虚しいだけだった





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