「…ジャッカル先輩……?」


ジャッカル先輩?ジャッカル先輩って確かハーフで、テニス部だっけ?

色黒だったから唯一テニス部で切原くん以外に分かる人


「……もしかしてテニス部の?」

「――他にジャッカルって人、いないと思うんだけど」

うっそ……!ともだちってばジャッカル先輩が好きなの?

てっきり

「ともだちは、面食いなんだと思ってた……」

今までともだちの好きになった人は全てが世に言う『イケメン』だったから

楓は呆然と呟いた
それにともだちが反論する


「私は別にそーゆう訳じゃないからね!誤解しないでよ

確かにイケメンは好きだけど、顔も良くて性格も良いジャッカル君には到底及ばないんだからー」

力説するともだちの言葉と同時に教室に切原赤也が入ってきた

ファンクラブは教室にまでは入れないので、そのまま去って行く

騒がしさが無くなったのでともだちは声を小さくして言う


「この事は内緒だからね!」


「うん、わかってる」


そこで丁度よくチャイムが鳴り、話は終わった

――ともだちが恋、か……



時は過ぎ、昼休み
キーンコーンカーンコーン


「楓、お昼だよー!はやく食べよーッ!」


「はいはい落ち着いてね」


弁当を持ち叫ぶともだちにそう言うと、楓も弁当をカバンから取り出す

その間にともだちは目の前に座っている


「にしてもテスト疲れたぁ…」


「私もー、でも午前授業だし良くない?」

早く帰れるんだよ?

楓の言葉にともだちは瞳を輝かせ言った


「そっか!ならジャッカル先輩のコト、見に行けるじゃん!!」

ともだちの叫びに楓は疑問を浮かべた


「テスト期間なのにテニス部は部活あるの?」


「ん?あるよ、だって全国目指してるんだよ、テニス部は!

テストなんか関係ないって!」


「ふーん」

そういうもんなんだぁ……
でも大変だよねえ、休みも無いじゃん


「ねぇ楓も一緒にテニス部見に行かない?

私、部活無いから初めてジャッカル先輩の事応援できるわ!」


「んーどうしよう……今日こそは本屋に行こうかなぁって思ってたんだけど」


「えー、一緒に行こうよ!切原君もいるコトだしさぁ」


楓の言葉に一瞬戸惑った

「…へ……?」


「私はジャッカル君、楓は切原君を応援すんの!

ちょうどいーじゃない!」


行こーよーッ!と駄々をこねるともだちを前に楓は苦笑いを溢した


「でもさあ……私は別にテニス部に興味ないし」


「私は楓と一緒に応援に行きたいのー」

ダメ?と首を傾げるともだちを前に楓は何も言えなかった

ともだちの首を傾げる可愛い姿に断る術を持っていなかったのだ


「……わかった一緒に行く」


「やった!さすが楓」


ともだちはそう喜ぶと卵焼きを口に運んだ

あれ、ともだちがお弁当なんて珍しい


「――珍しいね、今日はお弁当なんだ」


「うん、お母さんがたまにはお弁当も良いでしょ?って」


楓の疑問に頷くともだちはパクパクと美味しそうにご飯を食べている


「ふーん」

そう返すとともだちは瞳をキラキラ輝かせながら言う


「相変わらず楓のお弁当は美味しそうだよね!

手作りでしょ?」


「まぁ一応…でも適当に作ってるからね」


そう言う楓にともだちは苦笑いを返す


「謙虚なんだから、もう」


穏やかに過ぎていく、時間





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