「仕方無い、ジャッカル先輩で良いッすよ」


はぁ、と溜め息をついた赤也にブン太は言う


「あんまりジャッカルなめんなよな!赤也、負けちまうぜぃ」


ニヤニヤ笑うブン太に赤也は今までの事を忘れ、ジャッカルとのテニスに熱中した

頭の中には『楓』という存在はなく、『テニス』というものしか存在していなかった


「今日の練習はここまでとする!部員は体調管理に気をつけるように」


「「「お疲れ様でしたーーッ!」」」


副部長である真田の言葉に挨拶を返し、部活は終わった

レギュラーである赤也はいつもは少し打ち合いをしてから帰るのだが、今日は違った

すぐに着替えると、学校を後にしようとしたのだ

それに気付いたテニス部レギュラーはニヤニヤ笑いながら近づくと言った


「なぁ赤也ー、今日ファミレス行かねぇ?」


「ブン太先輩、今日はちょっと…用事あるんスよ」


赤也の言葉にブン太は驚き、叫んだ


「仁王ーーッ!やっぱり今日は赤也おかしいぜッ!」


いっつもなら、奢りッスよね、先輩!って言って着いてくるのに!
ブン太の叫びに仁王は笑みを浮かべ、赤也に言う


「のぅ赤也、本当は用事なんかないんじゃろ?」


「うっ!」


仁王の言う通り用事なんか無い赤也は呻く


「何を隠しとるんじゃ、赤也」


ニヤリと笑みを浮かべた仁王は赤也に近付いていく

対する赤也は後ずさっていく

このやりとりが永遠に続くかと思われたが、真田の一声で終止符がうたれた


「丸井、赤也が困っているではないか

無理に誘うものではないぞ!
仁王も無理強いしてはならんぞ」

最初のやりとりしか聞いていなかった真田はそう告げると、颯爽と去って行った


「――だそうッスよ」


なんで失礼します、と言うと赤也は背を向け去って行った

それを見送りながらブン太と仁王は呟く


「やっぱりおかしいよなぁ」

「そうじゃの」


そんな2人を赤い夕陽が優しく照らしていた







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