「なんだよ〜赤也!お前おかしいぞ!」


「……すんません」


「こんなショボいミスする奴だとは思わなかったぜぃ」


赤也はブン太の言葉に顔を俯かせる事しか出来なかった

自分でも、ショボいミスだし有り得ないミスだと思っていた


(クソッなにやってんだよ!こんなミス……有り得ねえ)


「まぁまぁブン太も落ち着きんしゃい

赤也じゃってミスくらいするじゃろう?」


「仁王、でもよ……」

腑に落ちない顔をするブン太に近くで全てを見ていたジャッカルが呼ぶ


「ブン太、あっちでダブルスの試合だとよ!」


この言葉にブン太はしぶしぶ行動を開始し、ジャッカルと共に試合のあるコートに向かった


「で、今日はどうしたんじゃ

テニスにも集中できてないようじゃしの」


「仁王先輩……」

俯き手を握りしめる赤也に気付いた仁王

そこに小声だが新たな声が現れたのを赤也は感じ取った

この場所だけ静寂に包まれていたからかもしれない


「楓!やっぱりもうやってるみたいだよ」


「ホントだ……さすが全国レベルの部活だね」

――ドクン


(今の声、楓って……)


「どうしたんじゃ赤也」

赤也の異変に気付いた仁王が問い掛けるが、答えられない


「あ、切原君もいるねー!ジャッカル先輩もいる!」


「あ、ホントだ!」

ともだちの言葉に目を切原に向けるが、楓は異様な雰囲気を察知した


(あれ、切原君なんか元気ないみたい…

それにあの先輩みたいな人、なんか言ってるし
どうしたんだろ…?)


心配そうに切原を見つめる楓にともだちは笑って声をかける


「楓、あっちに座って見学しよー」


頷きともだちの後に続くが、目はずっと切原を追っていた


「……なんでもないッス!
あ、仁王先輩シングルスしましょーよ!」


「ピヨッ」


いざ赤也に試合に誘われると、仁王は素知らぬ顔をして去って行った


「ちょッ!仁王先輩、試合しましょーよ」


「…………」


「酷いッスよ仁王先輩!」


コートに赤也の叫びが木霊した


「切原君叫んでる!ちょっと楓、ちゃんと見た!?」


「見た見た。だからともだちも落ち着いて、ね?」


あまりの声の大きさに楓は慌てて言った


「ごめんごめん」

「ん、大丈夫!あ、あっちでジャッカル先輩試合してるじゃん

ダブルスなんだねー、初めて知った」


「嘘ッ!?有名なのに知らないの!?」


「え、うん……だってそういうの興味ないし」


勢いに圧されながらもそう答える楓


「……うん、楓はそういう性格だもんね
聞いた私が馬鹿だった」


「……なんか私、貶されてる気がするんだけど………」


「え?貶してないから!」


そう答えるともだちをホントかよ?と見つめる楓


「いや、ホントだから!貶してないから!
……あ、ジャッカル先輩だ!すごーい」


「……うん、気にした私が馬鹿だった」

ジャッカルを応援しているともだちを横目に呟く楓なのだった

「……ブン太、大丈夫か?」


「なにがだよ、ジャッカルこそ大丈夫か

さっきっからあそこの女子、お前の事見てるみたいだぜぃ?」


「……は?」


「ようやくジャッカルにもモテ期が来るんじゃねー?」


試合中にも関わらず、二人はマイペースだった





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