ねえ風間さんあのさあ、風間さんが俺の家にはじめて来た時、ああそうだな小学生の何年だったかな、何飲む? コーラ? オレンジジュース? って聞いたら風間さん「牛乳」って言ってさあ、びっくりしてさ俺、だってうちではかあさんが料理に使う以外の牛乳ってなかったから。ごめん風間さん牛乳ねえやいますぐ買いに行ってくるって俺が言ったら風間さんいやいいよって言ってコーラ飲んでさ、俺あれくやしくてさあ、いやいいよないならないでって風間さんに言わせてさあ。あれほんとあのとき俺くやしくてさーしくったと思って、あれからしょっちゅう牛乳買って帰るようになってさ、アラー慶ちゃんまた牛乳買ってきたのとか言われて、うちに牛乳余っててさあの頃。飲んでも飲んでもなくなんねえしだいたい俺別に牛乳好きじゃねえし。風間さんはめったにうちに来てくんねえし。ていうか誘えって話だよな。牛乳死ぬほどうちにあるから風間さんうち来てよって言えよって話だよマジさあ、牛乳たまるばっかだからかあさんシチューばっかり作って、もう牛乳買ってこないでねって言われてさ。
 なあ風間さん、これエロい話じゃね?
 俺がそう言っても風間さんは答えないまま、俺の体を探っている。っていうか、ケツに指を入れている。なー風間さんさ、と俺は声をあげる。また声をあげて、しゃべんないほうが風間さんはもりあがるだろうってそれは知ってんだけど、静かにやったほうが風間さん興奮すんの俺ちゃんと知ってんだけどでもさあそんなら邪魔してやった方がいいだろ、知ってから喋ってんだよ、だって障害あるほうが燃えるでしょ、ぜんぜんセクシーでもなんでもないふだんどおりの俺相手にちんぽ勃たせるほうがハードル高くて面白いでしょ、難しいことのほうが面白いでしょ、……面白い事ならさあ。
 なー風間さんさ、でもさあ、こういう感じだと俺思ってなかったな、正直ずっと意外、俺が風間さんのちんぽ舐めるとかして勃たせて俺が勝手に乗って俺が勝手に腰振って風間さんは全然なんていうの、マグロ、ずっとマグロでさ、マグロって意味わかる風間さん? アハハ怒られた、言うほど下品でもねえだろ。
「要するにあんた、いまだに人間の部品足りてんだなって思ってさ。うん。褒めてない」
 俺がそう言った時、風間さんはまゆをひそめて、俺にキスをした。黙れという意味かもしれなかったけど、とにかくそれはキスだった。どろどろしたべちゃべちゃしたそういうタイプのキスをこの人ができるってことを俺はすごく不思議に思う。風間さんて全然そういうタイプじゃないのにそういう欲望ゼロに見えるのに(あるいはそういう形に仕上がっていま俺の前に清潔そうなツラを晒しているのに)俺とどろどろぺちゃべちゃしたキスもするし俺の穴をめちゃくちゃ丁寧にゆるゆるにもするしそれから腰を振るときもなんていうかちゃんと情熱があるし、あんたほんとなんなんだろうな。
 ねえ風間さん、これは言葉にはしない部分だ(だっていま口を塞がれているので)、なああのさあ風間さん、俺はいまでもあんたに牛乳買ってあげるけど、あのころみたいに牛乳ないから死のうみたいなのはもうなくなっててさ、だってもっと楽しいこといっぱい知ってるし、もっと難しいルールのゲームいっぱい知ってるし、あんたが俺のこと抱くのだって面白いか面白くないかで言ったら正直まあそれほど面白くない部類だし、なんだけど、あんた今でも俺が人間みたいに俺を抱くの、いまでも俺が人間のままでいるみたいに、俺が大切なきれいなみじめなあんたの恋人みたいに俺を扱う縛りゲーさあ、面白そうでけっこううらやましいな。あんた昔から縛りゲー好きだったからな。ていうか風間さんはもともと人生縛りゲーだからって言っても怒られなくなったのいつからだっけな。あんた格ゲーでわざと弱いキャラ使うのとか昔から好きだったもんね、わざと弱いキャラ使って勝てる方法考えたりとかそういうのばっかりあんたやっててバカだなあと思うけどあんたのそういうところ嫌いじゃないしそういうの悪くないんじゃねと思ってるんだけど俺のことだってあんたその一貫としてほら、あ、あ、あ、
 入ってきた。ずぶずぶ入ってきて熱かった。この人は強いなあと俺は思った。俺を前にしてこんなふうにあくまでもまじめに腰を振ってあくまでも情熱に満ちているみたいな掘り方をできるのはまじでこの人強いなあと思った。俺が人間やめたから好きなんじゃなくて俺の人間だったころの部品の残りを一個一個大事に磨くみたいにして俺のこと抱くからこの人本当に強いなあと俺は思った。なあ風間さん、俺があの頃牛乳買いまくってたのってめっちゃエッチな話だよね、このあと俺たちまるで風呂上がりみたいな清潔なツラ並べてならんで牛乳飲むのエッチな話だよね、あんたが俺のこと人間みたいに扱うのすげえエッチな話だよね、それはすげえ難易度高いゲームでさ、俺は難易度高いゲームが、面白ければってことではあるけど大好きだからさあんたとやるの、興奮しちゃうよ、風間さん、ありがとう。



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