嘘をつけない




私はおばさんに頼まれて、実紅と一緒に夕飯のおつかいをしていた。
下宿の人も増え、一度に買う量は多く二人でも大変だ。


『実紅、先にお肉屋さん行ってて??私ここの済ませたら行くから。』

実「うん。よろしくね緋菜。」


スーパーで主に買い物をして最後にお肉屋さんに寄ってお肉を買えば終了するため、私は一人でレジに並び実紅に先に行かせた。
そしたら帰るタイミング同じになるから楽なんだよね(笑。

私は会計を終えるとスーパーの隣のお肉屋さんに向かった。


『実紅ー。』

実「緋菜!!今頼み終わったよ。」

『そう♪ちょうどよかった!!』


お肉屋さんに着けば実紅はおじさんに注文を終えたところだったみたい。
私は実紅の横に行くと実紅の後ろには綺麗な顔の男の子がメンチカツを美味しそうに食べていた。
本当に綺麗な顔をしていてしばらく見惚れていると一瞬目が合いその彼に微笑まれてしまう。
ずっと見つめていたのを恥ずかしく思い彼から目を反らしお肉屋さんに目を向き返す。


 「航!!」

航「あっ兄ちゃん!!」

 「お前部活は??」

航「今日は休みだって言ったじゃん。」


先程私が見つめていた彼は兄らしき人に名前を呼ばれ会話をしている。
その声があの人に似ていたため少しドキリとした。
すると、隣の実紅からその声の主があの人であるという核心的な言葉が発っせられた。


実「あっ、片桐クン…??」

『えっ!?』

隼「っ………」

航「え…??」



実「美味しい!!」

航「でしょ??」

実「うん♪」


私はあれから初めて顔を合わす隼人クンに動揺を隠しきれない。
けど、なんの成り行きか今は4人で公園の原っぱに座り航クンオススメのメンチカツを食べていた。


実「航クンは今何年生??」

航「中3!!」

実「中3かぁ〜♪」

航「うん、来年は双葉南のサッカー部に入って草平と一緒にサッカーやるんだ!!」

実「へぇ〜いいね!!あっ、サッカー部には友達いっぱいいるよ♪ねぇ、緋菜!!」

『あっうん…そうだね。』

航「マジッスか!?」

実「健と新太と健人と風磨!!多分航クンが入ったら仲良くしてくれると思うよ♪」

隼「俺、ちょっと飲みもん買ってくるわ…。」

航「…え??」

『………。』


隼人クンが飲み物を買いに行くと言って席を立ってくれたことに安心した。
同じ場にいることが耐えきれなかったから。
私は今しかないと思い二人に声を掛けた。


『ごめん…。私用事あるから先に帰るね??』

航「緋菜サン!!兄ちゃんのこと嫌いッスか??」

『嫌いじゃないよ。なんでそうなるの??』

航「わかった、じゃあ兄ちゃんなんか失礼なことしたんだ。もしかして…」

『私にじゃないからっ!!』

「「…!?」」

『ごめん。何でもない。先に帰るね。』


実「あっ緋菜…私も一緒に…って行っちゃった。」

航「どうしたんでしょうね??」

実「私もさっぱり…。」

航「実紅サンは兄ちゃんのこと嫌いですか??」

実「そんなことないよ。ただ…よくわからないんだよね。」

航「実紅サンもやっぱりもしかして…!?」

実「航クンって人の心読める系(笑??」

航「メンタリスト航です♪」

実「何それっ!?」

航「兄ちゃん、女苦手だからなー。」

実「うそ。いっつも女の子と一緒にいるよー。」

航「でも、誰かを好きになったことないと思う。」

実「えぇー。」

航「でも…もしかしたら好きになるかも♪」



バカみたい。
あんな態度とったら何かあったってバレバレだよ。
実紅は私があれを見たこと知らないのに、やっと普通に接することが出来てたのに。


隼「どこ行くの…??」

『っ…!?』


もう顔を合わせないように帰ろうと思ったのにまさかこっちの自動販売機に買いに行ってたとは…。
気まずすぎる。
私はこの場から早く帰りたいため早口で返事をした。


『用事あるから先に帰るね。実紅はまだ航クンといるから。じゃあ。』

隼「待ってよ。送ってく。」


顔も見ずに通りすぎようと思えば隼人クンに腕を掴まれる。


『いいよ!!私一人で帰るし。急ぎだから!!』

隼「荷物も重いだろうから俺持つし。」

『いいって別に!!実紅のこと送ってけばいいじゃん!!』


ハッと気付いた時には遅くて…
私何言ってるんだろう。
隼人クンも私が叫んでビックリして掴んでいた手の力が一瞬抜けた時私は素早く手を払った。
もうどうにも出来ないこの状況に私は逃げるように家に帰った。



嘘をつけない


(このモヤモヤの正体は

もしかして…)



20130113

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