優しさに甘えて
実「ただいまー。」
清「草平クンとみゆきチャン仲良いんだね♪」
滝「やーリアルルリカだったな♪」
『タッキーサン…。』
ピリリリ…ピリリリ…
実「携帯なってるよ??」
家に帰ってきて玄関に入れば遊び疲れたのかひとまず玄関でぐだっていた私たち。
そんな中でいきなりの着信音。
実紅が私たち一人一人の顔を見て聞くけどみんな首を横に振った。
実紅は疑問に思い、鳴ってる場所を探すと自分の持っている袋の中に、黒い携帯が入っているのを見つけた。
実紅は恐る恐るその黒い携帯の着信に出た。
実「…はい??」
健「あっ池之内??」
実「健…!?」
健「それ、俺の携帯。」
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─実紅 side─
実「なんで私が…」
突然鳴った携帯は健のもので、電話で持ってきてと言われた。
緋菜に一緒に行こうって言ったのに、面倒くさいから行かないって言われた私は一人自転車に乗って健が待ってるって言った場所まで向かう。
み「楽しかったね。」
草「あぁ!!」
ふとした聞き覚えのある声に自転車を止めそちらを向けば、さっきまで一緒にバーベキューをした楢橋とみゆきチャン。
二人は楽しそうに会話している。
みゆきチャンが喋れば笑顔で応える楢橋がいて、それを見て胸が傷んだ。
ずっと探してた私の運命の人はもう誰かのもので…
知らずのうちに涙が流れる。
辛いってわかってても、体は動かずじっと二人を見つめてた。
実「…っ!?」
いきなり腕を捕まれた。
驚き勢いよく振り向くと、そこには健人が立っていた。
健人「ちょっと来い。」
今まで動けなかった足は健人によって動かされ、二人から離れた場所に移動した。
私の代わりに自転車を運んでくれた健人は、ベンチを見つけると近くに自転車を置く。
そしてベンチに座れば私に隣に座るよう手をひく。
私は泣いているのを誤魔化さないといけないと思い、健人が喋り始める前に声を出した。
実「健人……健は??」
健人「健??さっき別れたけど…。」
実「そっかぁ…。私、健に携帯届けなきゃいけないんだ。あいつバカだから私たちの袋の中に入れてさー。」
健人「無理すんなよ。」
実「え…??」
健人「泣けよ。今俺しかいねーから。」
健人はぎゅっと私を強く抱きしめてくれた。
私はその暖かさに我慢してた涙が一気に流れ、声を出して泣いた。
さっきのバーベキューの時。
楢橋がみゆきチャンを連れてきた。
そして二人が本当に付き合ってるっていう現実を突きつけられた。
私はつい途中で逃げ出した。
その時に健人が来てくれた。
多分その時から気付いてたんだ。
健人はチャラチャラしてるけど、みんなのことよく見てるから。
小さな変化だってすぐ気付く。
一通り泣き終えれば、私は一気に恥ずかしくなり健人から離れた。
大丈夫??って優しく聞いてくれる健人に黙って頷くと頭を撫でられた。
健人「じゃあ健の携帯は俺が渡しとくよ。」
実「いいよ。自分で渡しに行くから…って健結構待たせてる!?」
健人「あいつが悪いんだからいいんだよ。後、その泣き顔どう説明すんの??いくらあいつがバカだって気付くよ。」
実「うっ…。じゃあ…お願いします。」
健人「素直でよろしい。じゃあ気をつけて帰れよ??」
実「うん…ありがとう。」
健人に健の携帯を渡せばじゃあなって言って歩き始めた。
私もずっとここにいる理由もないため、健人の好意に甘え自転車で家に帰った。
優しさに甘えて
(健ー携帯。)
(あれ??
健人帰ったんじゃねーの??)
(途中で実紅に会ってさ。
てかお前自分で取りに行けよ。)
20121209
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