エクソシスト達は悪の化身だの、親玉だのといっているけれど。
私にとっての千年公はもっと別の存在だった。


「千年公ー…」

「おヤv イヴ、どうしましタ?v」


趣味の編物をしていた千年公の前へと現れると、
フラフラな足取りで彼が座っているロッキングチェアーの元へと向かう。


「なんか、ぎもぢわるい…」

「んマ!またティキぽんと変な物でも食べたんですネv」


最近はそんなに変なものなんて食べてないんだけどなぁ…。
強いて言うなら日本料理の天麩羅?とかいうものぐらい。


「食事には気をつけるように言っているでしょウv特に日本料理ハv」

「だってティキが絶対うまいって…」

「ティキぽんは味覚がおかしいんでスvこれに懲りたら気をつけてくださイv」


千年公の膝の上に頭を載せるような態勢で座り込む私を見ては、
編物をしていた手を止めては頭を撫でてくれる。

まるでお父さんみたいだ。


「やっぱり千年公の作った料理が一番美味しいや、安全だし」

「当然でスv 愛情が篭ってますかラv」


いやお父さんというより、お母さんの方が近いか。
なんてクスクス笑いながら思っていると、安心したのか妙に眠たくなってきてしまって。


「千年公、大好き…」


そうポツリと言葉を零したかと思えば、徐々に自分の意識が遠のいていく。


――確かに千年公はアクマという人を殺す兵器を作ったり、
躊躇いなく人を殺したりもする。

だけど本当にアクマを作るのは人間の心の闇で。
躊躇い無く人を殺すのは彼等が道を阻むからだと、この長は言う。


正直。私にはどちらが正し(正義)くて、どちらが間違い(悪)なのかは判らない。


でも私の頭を撫でてくれるこの手は大きくて暖かくて、とても優しいから。
例え千年公が間違い(悪)だったとしても、私は彼についていくのだろう。


そんな事を思っているとふわりと肩に暖かい物が掛けられて。
その暖かさに更に意識が遠いていってしまって。



「――私も愛していますよ、私のイヴ」



夢見心地の中聞こえてきた千年公の声は酷く優しくて。
またとても懐かしいような気がした。



の ひ ら )

 
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