窓の外へと広がる光景に、思わず言葉が口から零れる。
一年の終り。新しい年を目前に控えた、とある日の事。
例年にはしては珍しく、遅い初雪が街を彩っていた。
「今年はもう降らないかと思ってたのにな」
私の背後へと立っては、「どおりで寒い訳だ」と、言葉を繋げるティキ。
でも、寒いのは気温のせいだけではないと思う。なんたって上半身裸なのだから。
それでも平然としていられるのは、部屋の中が暖房により暖かいからだろう。
そうじゃなければ、流石のティキだって何か羽織るに決まってるし。
……できれば、そうなでなくとも何か羽織って欲しいけど。
「これだけ積もってれば"雪ウサギ"とか作れるかな」
「100個以上作れんだろ」
少しだけ顔を上げて問い掛ければ、頭上からクスクスと笑い声が聞こえてくる。
窓の外は一面の銀世界。それこそ雪ウサギ所か、かまくらだって何個でも作れるだろう。
勿論そんな事見れば分かるのだけど、ちょっとした冗談のつもりで問い掛けてみた。
「初雪に浮かれんのも分かるけど、もうちょっと俺の事も見てくんない?」
笑い声と共に、背後から優しく抱きしめられる。
先程のが"私なり"の冗談だとすれば、今のは"ティキなりの"冗談とだろうか。
少々解釈に困ったけど、それでも同じように笑みを零しては、背後へと身体を委ねる。
ティキのように素肌でこそないものの、それでも薄着であるには変わらず。
直接肌から伝わってくる体温に、心まで暖かくなっていくようだった。
「まだ外で遊ぶには早いし、もう少し屋内で遊ぼうぜ」
そう、クスリとティキが笑ったのと同時に、ドサリと視線が大きく動く。
彼の言葉が"冗談"ではない事に気がついたのは、ベッドへと押し倒された後だった。
As primeiras neves