誰が一番面白そうなものを持っているか。
 そう考えた時、真っ先に浮かんだのはロードだった。元々悪戯心が強く、また何処にでも入り込める扉を持っているのだから。
 ――だが、そこでふと疑問が過ぎる。
 本当に誰の所にでも入り込めるのか。と言う事と、ロードよりも更に危ない……もとい未知数な人物がいるではないか、と言う事に。
 そんな訳で。

「やってきました、千年公の部屋ー!」

 ババーン! という効果音が付きそうな声とポーズと共に、部屋の中を見渡すイヴ。もっとも、部屋の中"だと思われる場所"と言った方が正しいのだが。

「わー、壁も無いのに肖像画が浮いてる」

 今まで何度か入った事はあるが、何時見ても不思議空間である。壁が無いのにあちらこちらに絵が浮いており、更に屋敷の中であるにも関わらず天井が無いのだ。暗い空間。まさにそんな場所。せめてもの救いは、床が白い事と、子供部屋のようなオモチャや編物。更に家族を象って編んだだろう人形や、人間サイズの靴下が散乱しているという事か。
 悪の総大将とも言わている長の趣味が編物、と言うのも少々複雑ではあるが。

「ん?」

 さて、何処から掃除したものか。と、一応当初の目的を覚えていたイヴ。――だが、そんな彼女視界にふと白い袋が入り込んだ。部屋の(恐らく)片隅にちょこんと置かれた大きな袋。まるでサンタクロースが持つ袋のようなソレ。

「そういえば、今日はクリスマスだっけ」

 偽りの神と敵視すらしている自分達にとって、どちらかと言えば毛嫌いする日だろう。だが、祭り好きなあの長の事だ。きっとクリスマスパーティとかを予定しているに違いない。

「とすると、これってもしかして……」

 ゴクリとイヴの喉が鳴る。
 クリスマス当日、大きな白い袋、更に近くにはサンタクロースのような赤と白の洋服。ともなれば、袋の中身はやはり"アレ"だろう。

「ど、どうせ貰えるんだし、今見てもいい――よね?」

 暫し「うーん」と苦悩していたイヴだが、泉のように湧き上がる好奇心を抑える事は出来なかったようだ。誰もいない部屋の中をニ、三度見渡したかと思えば、そっと袋の口へと手を触れる。そして、

「ん? え。あ、あれ。ちょ、ちょちょちょっ――オギャアアアアアッッ!!」



様 は サ ン タ ク ロ ー ス ?
「千年公ーイヴ見てないッスか? 昼から姿が見えなくて」
「ウフv きっと寝てる間に届きますヨv」
「へ?」


 
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