最近、自分が良く分からない。
ボーっとしている時間が増えたような気がするし、逆にソワソワと落ち着かない時間が増えた気もする。しかもその落ち着かない時ってのは、大抵イライラとセットと来た。なんかこう……口では上手く説明できないんだけど、ムカムカ? するんだよ。

「なんでだと思う?」
「や、知りませんがな」
「だよなー」

俺が知らないのに知ってる訳ないよなぁ。なんてため息混じりに呟けば、同じように相槌を打ったイヴからもため息が聞こえて来る。

「そんな事より、暑いし重いから離れて欲しいんですけど」
「不思議だよなぁ」
「わざとらしく無視しないでクダサイー。というか頭の上に顎乗せながら喋らないでください。地味に痛いです。喋る度に脳天に響きます」
「なーんーでーだーろーなー」
「いだだだっ!!」

何やらぶつぶつ言っているイヴを無視しては、逆に口を大きく開けて発音する。身体を捩ってまで逃げようとしている所を見ると、本当に痛いらしい。まぁ、だからと言って牢屋……もとい、檻のように閉じ込めている腕を離すつもりはないけど。

「ちゃんと話を聞かないからお仕置き」
「聞いてんでしょーがっ。寧ろ話を聞いてないのはそっちでしょ!」
「俺は自分の事でいっぱいなのー」
「普段頭の中空っぽの人がよく言……だだだだっ!! ギブギブッ!! 私が悪かったですーーッ!!」

脳天割れるし口から内臓的なものが出てくるッ。なんて叫んでるけど、人間そんな柔じゃねぇし。何よりイヴは他の人間よりも頑丈に出来てるから大丈夫だろ。まぁ身体事態はちっさくて柔らかいけど。

「そ、それはつまり、私が太っていると言いたいのかね!」
「べーつーに。ロードとお菓子食べまくってたくせにとか、双子と食べ歩きしてたくせに、なんて思ってねぇし」
「や、普通に思ってると思います。……ん? というか、なんでソレしってんの?」
「偶然町で見つけた」

確か、千年公の使いの帰りだったかな。声掛けようとは思ったんだけど、妙にはしゃいでるっつーか、楽しそうなイヴの姿を見たら、何故か声が出なくなった。理由は未だに分からないけど……よくよく考えてみれば、あの時から"異変"が始まったような気もする。

「なんでだ?」
「だから知らないってば」

腕の中にいるイヴへと問い掛ければ、ムスッとしたような声が返って来る。
イヴでも知らない事ってあるんだな。なんて、今だイヴの頭の上に顎を乗せ、背後から覆い被るようにボーっとして座っている、と。

「…………あ、もしかして」
「ん?」
「本当はティキもお菓子食べたかったんでしょー? あそこのお菓子有名だもんね。今度スキンと一緒に行く約束してるから、その時に買ってきてあげ……あだだだだっ!! な、なんでだぁああ!?」



僕から君への深愛シグナル
「だーっ、ムカムカしてるからって私にあたんないでよ!」
「……ん。そーいや、今はそんなムカムカしてねぇな。なんでだろ?」
「しるかーーッ!!」



 
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