奇妙な光景に、オレ達は唖然とするばかりだった。会議のためかまたヴァリアーが来日しているという事は聞いていたが、数週間前とはうって変わっている。下校の時間を狙ってか現れたベルフェゴールとマーモンは、あからさまになまえを待っているようだった。そしてなまえも彼らに気付いた瞬間、喜びを顔にみなぎらせる。まるで尻尾でも付いていたらブンブンと振り回している事だろう。


「ベルさん、手合わせして下さい」
「…やだねー」
「何でですか」
「王子暇じゃねーの」
「先程マーモンさんからこれからは自由時間だって聞きましたよ」


  先を歩くベルフェゴールの後をぴったりとくっついて離れない。いつからこんなに仲良くなった?というかなまえはベルフェゴールに殺されそうになった事にトラウマを持っていた筈だ。だが、これはどういう事だろう。むしろ仲良くなったというよりか見方によっては好意的にも思える。


「ベルに頼まれて着いて来たけどこういう事かい」
「10代目、なまえっていつからナイフ野郎とと仲良くなったんスか」
「…全然分からない」
「あんなに楽しそうにするベルは久しぶりだよ」
「まあ、ね…楽しそうだからいいんじゃないかな」


  もっと金を払ってもらわないと、と呟くマーモンも微笑ましく彼らを見つめていた。まあ近いうちおそらく、そんな予想をしながらオレ達もまた呆れながらも優しく見守っていた。


END
そんな予感