『あ、京介くん、お帰りなさい!』

「うん、ただいま。今日も疲れたなあ…」

『ふふ、お疲れ様』

「ああ、そういえば…」
『どうしたの?』

「俺、詩乃ちゃんにお土産持って帰ってきたんだよね。…いる?」

『その箱?何が入ってるの?』

「ケーキ。今日、差し入れでもらったんだけど食い切れなくてさ」
『え、食べたい!』


…明日は夕方までオフ。
少しでも会いたい、ということで私は、お付き合いしている京介くんの部屋で帰りを待っていた。

京介くんにはもう連絡はしてあるし、合鍵だって京介くんからもらったものだ。
先に仕事を終えた私は、それを使って部屋にお邪魔していた。

手持ち無沙汰に待ちぼうけていると、ドアが開いた。
そして、お土産片手に、京介くんが帰ってきたのだった。

甘いものが好きな私は、嬉しくて目を輝かせていたと思う。


……そして今は、京介くんに見つめられながら甘いケーキを堪能している。


「どう?」

『…すっごく、美味しい!』
「そう?それは良かった」

目の前に座る京介くんに尋ねられ、フォークをお皿に置いて、私は答えた。
箱の中にはショートケーキ、チョコレートケーキ、モンブラン、タルトなど見た目も可愛いケーキがまだいくつか残っていた。


飛び切りの美形の前でケーキを頬張れるなんて……私はなんて贅沢なのだろう。
幸せ、だなぁ。

そんな事を考えながら、フォークを口に運ぶ。

「詩乃ちゃんって…本当、ケーキ好きだよね」
『ま、まあ…』

京介くんはにっこりと笑って私とケーキを交互に見た。



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