一月二十九日 某TV局にて。
人気アイドルグループWaveの出演番組の収録を終えた流°は、マネージャーの山田とちょっとした会話を終えてから一人楽屋に向かった。廊下歩いているその時だった。

「―――――ッ!!」

何者が、背後から突然流°の口を手で塞ぎ楽屋に連れ込まれた。流°は、恐怖のあまり目に涙を浮かべジタバタもがきだした。

「(やだっ怖い!!誰か助けてー・・・)」

「・・・そんなに暴れないで流°ちゃん」

「(え・・・この声・・・まさか・・・!?)」

聞き慣れた声を聞いた流°は、もがくのを止め声の主は、塞いでいた手を離した。流°は、ゆっくりと後ろを振り向くとさっきまで一緒に収録していた人物だった。

「亮太君!!」

声の主は、Waveメンバーの一人『三池 亮太』だった。亮太は、営業スマイルで流°を見た。

「えへへっ、吃驚した?」

「〜〜〜ッ、バカッ!!」

「へっ?」

流°は、大声で怒鳴り亮太は、きょとんとした。だが次の瞬間、亮太は目を見開き驚く。ポロポロと涙を流し流°は、泣き出したからだ。

「流°ちゃん・・・」

「なん・・・で・・・ひっく・・・こんな事・・・っ怖かった・・・ん・・・だから・・・」

「ッ――・・・」

泣いている流°に亮太は、優しく抱きしめ頭を撫でながらこう言った。

「流°ちゃんゴメン。ボクの悪ふざけのせいで怖い思いをさせちゃったね」

「(亮太君・・・)」

「ねぇ、仲直りのキス・・・していい?」

「えっ・・・」

顎を捕まれグイッと上を向かせ亮太は、ゆっくりと顔を近づける。流°の唇までの距離まであと五センチ・・・三センチ・・・










「コラ―――ッ亮太ぁぁぁ!!オレ達が此処に居るの忘れていないよな?」

「!!?」

「・・・忘れてなんかいないよ?翔にワザと見せつけてあげようとしたんだから・・・ね」

亮太は、流°から少し離れた。流°は、目の前にいる亮太の背中からひょこっと顔を出すと、テーブルの上に両手をついている『桐谷 翔』。翔から右斜めに頬杖をついている『中西 京介』。壁に持たれて座って本を読んでいる『藤崎 義人』。ダウンコートを羽織る途中の『本多 一磨』。Waveメンバー全員がそこに居た。

「ここWaveの楽屋。もしかして一部始終見てー・・・」

「ねぇー、イイ所だったのに邪魔が入っちゃったね・・・チッ」

「おい亮太。今、舌打ちしたよな?言っとくけど流°ちゃんは、亮太のモノじゃないからな!!」

「えぇーっ、そうなの?ボクは、てっきり流°ちゃんとカップリングだと思っていたのになぁ・・・。ねっ、流°ちゃん」

「りょ亮太君!?」

亮太は、流°の肩を抱き寄せた。それを見た翔は、カッとなり亮太の胸ぐらを掴んだその時ー・・・

「翔、亮太いい加減にしろ!!こんな事をしている場合じゃないだろ。それと亮太、度が過ぎるぞ。・・・ゴメンね、流°ちゃん。ちゃんと叱っとくから」

「あっ、いえ。それじゃ、私はこの辺で・・・」

「流°ちゃん、この後時間ある?」

流°が、楽屋を出ようとドアノブに手を伸ばした時、京介が声を掛けてきた。

「えっ?・・・この後は、スケジュールの事を山田さんとさっき話をしていてそのまま直帰していいって。たから時間はあるけど何かあるの?」

「じゃ、オレと義人で流°ちゃんと一緒に寄りたい所があるんだけどいい?勿論、オレの車で・・・」

京介は、キーケースを見せてニコッと微笑んだ。

「いいけど・・・」

「着替え終わったらそのまま楽屋で待ってて。迎えに行くから」

「う・・・うん・・・」

義人に頭をポンポンされて俯く流°。翔が、またギャーギャーと騒ぎだしたのでWaveの楽屋を後にした。
流°は、歩きながら考え事をしていた。

「(京介君と義人君が、二人揃って私と寄りたい所って何処なんだろう?)」

その一方、Waveの楽屋では・・・




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