ボクは、誰もいない屋上に一人で来ていた。

「ん―、晴れていて風も気持ちいいし次の授業サボるには丁度いいかな」

ボクは、コンクリートの上に寝そべり空を見上げた。何故、ボクが屋上に来ていたと言うと、お昼休みにファンの子達にしつこく追いかけられて逃げて今に至る訳。

どうしてファンがいるかって?

去年の文化祭の時、同じ学年の一磨達とライブをしたのがきっかけだ。予想外の盛り上がりと熱気は今でも忘れない。
それからと言うものの、ファンクラブが結成する程大きくなっていた。

正直、ボクはあぁいうのは苦手だ。まぁ、うわべだけの笑顔でファンの子達に接しているけど…ね。

ボクの事を見てくれるのは、ただ一人だけでいい。誰もいない屋上でボクは愛しい人の名前を呟いた。

「流°ちゃん…」















「何、亮太君?」

「うわぁ!?」

ボクは驚き、勢いよく上体を起こした。

「あっ、ゴメンね。吃驚させちゃって」

ボクの横に居るのは紛れもなく愛しい人だった。
彼女の名前は流°。ボクと同じクラスでボクの愛しい彼女。

優しくて綺麗で純粋で、ボクがちょっとからかうと、頬を膨らませた顔も可愛くって…。一緒に下校した時だって、恋人繋ぎしただけで真っ赤になるし…。

あと、文化祭のクラスの出し物で獣耳カフェを出店した時、流°ちゃんのメイド姿のウサミミ可愛かったなぁ。
流°ちゃんは、知らないけどコッソリ写真撮ったんだよね。

ん?途中からノロケに聞こえるって?
当たり前じゃん。ボクは流°ちゃんが好きで堪らないんだから。


「亮太君、さっきから黙ったままだけど、どこか調子悪いの?」

「えっ?ううん、どこも悪くないよ。それより流°ちゃん、膝貸して?」

流°ちゃんは首を傾げたけど「いいよ」って、言ってくれた。ボクは、流°ちゃんの膝を枕代わりにして寝そべった。いわゆる膝枕というものだ。

「りょ!?」

「少しだけ…、こうさせて?」

ボクはゆっくりと瞼を閉じた。

「亮太君…」

流°ちゃんは、ボクの頭を優しく撫で続けていた。本当、流°ちゃんは落ち着くな…。本当に眠たくなってきたよ。

「流°ちゃん…、好き…だ…よ」

「!!」

そして、ボクは深い眠りについた。





fin

次は、オマケの流°ちゃん視点と、その後。



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