「みかんって食べ過ぎると手ー黄色くなるよね」


唐突に高尾君が言ってきました。


「そうですね。黄色というとあのモデルの彼が思い浮かびますが…」


思い浮かんだ瞬間不愉快でした。

酷いっス!!と嘆く彼が想像できます。


「ブフッwwwww黄瀬君ねーwwww黄色wwwwだもんねwwwww」


そう言って爆笑する彼に、そういえばなぜこんなことを言ってきたのでしょう?と不思議に思いました。


「どうしてみかんの話をしたんです?」


と、僕の隣に寄り添ったまま未だに笑っている彼に聞いた。


「wwwwwえ?wwwwだってさっwwww」


とりあえず彼の笑いがおさまるまで待つことにします。


「おさまってからでいいですよ?」

「wwwwう、んwwwありがとwww…ふーっ、やっとおさまった」

「それは良かったです。それじゃあ本題です」

「いきなりだね。テッちゃん」


僕の切り返しの早さに真顔で答える高尾君の顔は新鮮でした。


「んーっとねー…すんごいしょうもないことなんだけど」

「それでもいいです」


理由が聞きたい僕は高尾君を急かした。


「そう?…えっと、みかんの色って、俺の目の色に似てるじゃん?」

「そうですね…同じような色をしてますね」


高尾君の目の場合は今にもとろけそうな橙色をしてますけど。


「それをね、テッちゃんに付けたら、俺色に染まるかなーって、思って…/////」


はにかみながら言う高尾君。

まさかみかんを食べながらそんなことを考えているとは思っていなかったため、正直言うと驚きました。

驚きと同時に何て可愛いことを言うだと思い、目の前にいる彼が僕よりも背が高くて同じ男なのにとてつもなく可愛らしかった。


「あの…テッ、ちゃん?」


僕が黙っていたため不審に思ったのか、不安そうに様子を窺ってくる。


「…高尾君にそんなことを言われるとは光栄です。ですが…」

「嫌がられなくて、良かった。けど…?」

「僕が言う前に言われてしまいましたね」

「…えっ?」


そう、本当は僕が君に言いたかった。


「高尾君を僕色に染めたいと言いたかったんです」

「テッ、ちゃん…////////」


恥ずかしがる高尾君のその姿を見られるのは僕だけと思うと僕はなんて幸せ者なんだろう。


「高尾君。僕だけの高尾君いてくださいね?これからも」

「うん///////俺は、テッちゃんだけの、ものだよ…/////」


最後の方は小声でもごもご言っていましたが、隣にいる僕にはちゃんと聞こえていました。


「大切にしますね」


そう言って高尾君を抱きしめました。


「はぅっ//////」


抱きしめた瞬間そんな声を出す高尾君が可愛かったことは、僕だけの秘密です。

(それは僕だけの君)

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