18人目:大坪泰介の場合
「ん?高尾についてどう思うかだと?」
「そうだな…あいつは場の雰囲気を保てるし、あぁ見えて努力家だな」
ですね。
そう思います。
「それにあれでも部員から可愛がられてるんだ」
あ、それは見なくてもわかります。
「あぁ、そうか?それに監督も気にかけてるしな」
「この前のことなんだが、高尾がふざけて監督のことをお父さんと呼んだんだ」
へ〜、それでそれで?
「そしたら監督が緑間に向かって、"お前に娘はやらないよ"って言ったんだ」
「あのときは部員全員、高尾も含めて唖然としてたな」
「もちろん俺もだが…(笑)」
それはそうなりますよね。
「それから娘発言にも驚いたな」
「高尾は男なのに娘?って思ったからな」
それは、可愛い子供をどこぞの馬の骨にやるわけにはいかないという父親の親心みたいなものですよ。
「そうなのか…?」
はい。きっとそうですよ。
「なら、様子見でいいか…」
いいと思います。
ところでこのこと知ってますか?
「ん?あぁ、高尾の誕生日のことか」
「知ってるぞ?ちゃんとプレゼントも用意してあるんだ」
まさか…それは…?
「俺が編んだマフラーに帽子に手袋だ」
「これから寒くなるからな。風邪には気を付けないといけないぞ」
可愛いんですけど、なんで猫耳…?
「なんか宮地が猫耳って呟いてたのを聞いて、そういえば高尾といえば猫っぽいなと思ったらこうなってた」
「似合うと思うんだが」
それは、はい。とても似合うと思います。
「そうだろ」
はい。あ、そうだっ!
大事なことが…!
大坪さん!これを読んでください!
「お、おう…?えっと、あぁ…高尾、誕生日おめでとう」
「これで風邪を引かないように気を付けるんだぞ」
どこまで言ってもお母さん…。
(誕生日まであと3日)
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