とある主将のHS攻略事情

「俺お前のこと好きじゃないから。むしろ」


次の一言が僕の胸にぐさりと刺さった


「大っ嫌い」


真太郎に笑いかける表情とは別人のように冷めた目を向けていた


「という訳だ。合同合宿を開くぞ」


「なにがという訳なんですか。赤司君」


「黒子の言う通りなのだよ。全く訳が分からないのだよ」


「赤ちーん。おれ面倒なの嫌いだしー」


「俺は行かねぇ」


「黒子っちと一緒嬉しいッス!!」


「「涼太(黄瀬君)ハウス」」


「酷いッス!二人とも!!」


「何か言ったか?」


「ひっ!な、何でもないッス!!」


「そうか。じゃあお前達、合宿日は後ほど連絡する」


「「「「「嫌(です)(なのだよ)(ッス)!!」」」」」


「異論は認めないよ。僕の言うことは?」


「「「「「…ゼッターイ」」」」」


絶対に振り向かせるよ。高尾和成


合宿当日、僕達洛山を含め6校が集まった


勿論、彼の高校秀徳高校も参加している


大丈夫。各校の監督に合宿の許可は取ってある


強制参加だけどね


目的の彼は真太郎にべったりのようだ


僕の邪魔をしたらキセキでも殺す


そんな視線を感じたのか真太郎がこちらを向いた


なので微笑んでやると顔が青くなっていた


一方、彼は僕と真太郎のやりとりを見ていたようでこちらを睨んでいた


そんなに僕のことが嫌いかい?


でも直ぐに僕のことが好きになるさ


練習が始まると同じポジション同士のチームを組ませた


これも彼と親密になるための作戦だ


表情には出さなかったが彼と一緒に練習できるのが嬉しかった


「なぁ、赤司と高尾の周り空気悪くね?」


「ですよね。赤司は嬉しそうに見えますが…」


「高尾の機嫌が悪いな」


「いつも笑ってるのにどうしたんでしょうね?」


「なんか面白くないことでもあったんとちゃう?」


他のPG達がこんなことを話していたとは知らなかった


その後も僕から話しかけたりしたが、不機嫌そうに返事をしたり、話を無視していた


結局、練習では彼と仲良くなることはできなかった


「どうすればいい?テツヤ」


「どうして僕に聞くんですか」


「テツヤは人間観察が趣味だろう。アドバイスをくれないか?」


「アドバイスといいましても…あのコミュ力MAXの高尾君が相手となると…」


「何でもいい。何かないかい?」


「そうですね…赤司君のありままを知ってもらうというのはどうでしょうか?」


「僕のありのまま?」


「はい。高尾君とお互いのことをよく話し合ってみたらいいと思います」


「お互いのことをよく…」


「高尾君がなぜ君のことを嫌いというのかが分かるかもしれませんよ」


「…そうだな。ありがとう、テツヤ」


「いえ。それでは健闘を祈ります」


「あぁ、行ってくるよ」


テツヤの側を離れ、さっそく彼を探しに出た


そんな僕の後ろで


「そうして赤司のワクドキ!HSと仲良くなろう作戦が始動したのである」


「何をやっているんですか。青峰君」


「赤司っちは無事、HSと仲良くなれるのか!?乙後ご期待!」


「黄瀬君、ウザイです」


「酷いッス!黒子っち!」


「黄瀬ちん。うるさいしー」


「何をやっているのだよ。お前達は…」


「「暇つぶし(ッス!)」」


「二人とも。赤司君にオヤコロされればいいです」


「「っ!?」」


「おれ、知らねー」


「はーっ。全く」


こんな会話をしていることは知らなかった


あの後ろ姿は!


「高尾和成」


僕が話しかけると嫌々こちらを向いた


「何だよ」


「話がある。こちらへ来てくれ」


「……」


不満そうにしながらも僕の後ろを付いてくる彼に胸が高鳴った


彼が素直に僕に従っている


それだけでも嬉しかった


「ここに座って」


彼に席を譲り、僕は目の前に立った


「で?話って何?」


「単刀直入に聞くが、なぜ僕のことが嫌いなんだい?」


急な疑問に彼は少し目を見開いたが、直ぐ目に鋭さが戻った


「お前のその偉そうな態度もそうだし、何よりその目が嫌い」


「僕の目?」


「その自分以上に強い者はいない、僕に勝てる奴はいないって言ってる目が嫌いだ」


僕の方を見ながら忌々しそうに言葉を吐き捨てた


「…そうか。そんな風に見られていたとはね」


「もういい?俺部屋戻りたいんだけど」


「まだだ。まだ僕が話していない」


「っち」


舌打ちしながらも僕の目を見て、早く話せと訴えてきた


「僕はね、君に僕のことを知ってもらいたいんだ」


「…はぁ?」


「僕のことを正確に知ってもらいたい。一方的ではなく僕自身の口から君に教えたい」


「な、何、言ってんの?」


動揺しながらも僕から目線を外さない彼に真っ直ぐに言葉を発した


「高尾和成。いや、和成。僕と友達になってくれ」


「お断りします」


断られてしまった


だけど諦めないよ、和成


僕は絶対君と親密な関係になってみせるよ


(ところでお前達、見ていたね)

(み、見てないッス!)

(赤司wwwwお前振られたなwwwww)

(赤ちん。お菓子ないー?)

(赤司、どんまいなのだよ)

(赤司君。諦めないでくださいねwww)

(お前達…敦以外、外周30周だ)




Ф赤司が大っ嫌いな高尾を仲良くしたくてキセキを巻き込んで合宿を開いちゃう赤司Ф

→赤司の家の事情を知り別れを告げる高尾に家よりも高尾を選ぶ赤司の話



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