第4話*収集

帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。
−朝から、私の頭の中はそればっかりだった。
「どうしたの?ずっと頭抱えて・・・何かあった?」
朝からずっと頭を抱えて机に突っ伏している私を見かねて、友達の実希(みき)が声をかけてくれた。
「いや・・・何でもないよ・・・。ちょっと白昼夢を見てるだけ・・・」
「は、白昼夢?どーしたの咲穂!?何か今日おかしいよ!?」
私の返答がよく分からなかったのか、実希は慌てて私を揺さぶる。
いや、本当に白昼夢を見てるんだが・・・・。まあ、信じてもらえなくて当たり前か・・・。
「いや、本当に大丈夫だから・・・ごめんね」
「ほ、本当に大丈夫なの!?調子悪かったらいつでも言ってよ!?」
「うん・・・・ありがと」
あぁ、なんてこの子はいいこなんだろう。
うぅ、なんか今の自分の境遇と実希の優しさが身にしみて、涙が出そうだぁ・・・。
何か身にしみるものにおかしいものがあったような気がするけど・・・。
ソレは気にしたくない。


うわああぁああぁあもう放課後かよおおおぉ!
いたずらに時は過ぎて。とうとう、放課後がやってきた。
どうしよう。このまま地球の裏まで逃亡しようか。ああでも、もう一度お母さんが作ったキムチを食べたい・・・・。
私は荷物をまとめながら、再度頭を抱える。
−なぜ私がこんなにも放課後がくるのを嫌がっているのか。
・・・・それは−どがっしゃああぁぁん!!
「さっきほちゃーん!迎えに来たよー♪♪」
「ふぅ、やっと放課後ね」
「早くいきましょー」
−突如、教室に轟音と、思い出さないようにしていた声が響いた。
「な・・・何だぁ!?」
「副会長!?」
「なんでドアが吹っ飛んでんだ!?」
「ていうか咲穂に用事!?」
ドアは吹っ飛び、ドアがあった場所にはあの3人が。
クラスにいた全員の視線が、一気にこちらを向く。
うあぁあぁあああああ!!
私は床に突っ伏した。
なんという最悪の状況。これだけは避けたかったのに・・・・。
「さ、咲穂!?副会長が呼んでるけど・・・知り合い?」
「いや・・・その・・・・」
「さあ、咲穂さん行きましょう!」
私と実希の会話に割り込んで、会長は私の前まで歩いてくる。
そして、私は、
「いや行きたくないで・・・行きます・・・」
会長の後ろで笑う二人の顔に影が差したような気がして、思わず了承してしまった。
うわあぁぁあ私は何をしてるんだああ!!
「よしじゃあ行くわよ!そのドア直しといてちょうだいね!」
会長は満足そうに教室を出て、里沙先輩と結依奈先輩もその後について教室を出る。
私も、とぼとぼと教室を出た。
−視線が、痛かった。


「あ、咲穂ちゃん!久しぶりだね」
一週間前に入った部屋に入ると、光輝く光介先輩が笑顔で出迎えてくれた。
あぁ、これだけが私の救い!
「咲穂ちゃん、久しぶりだね」
後ろのドアから、萩也先輩も入ってくる。
「こんにちは・・・久しぶりです」
私も2人にあいさつをした。
「さて、今日は新入部員の紺野咲穂さんの初活動よ!まずは、活動の紹介からね!里沙お願い」
会長は全員をひとつの机の周りに座らせて、里沙に指示を出す。
「はーい♪じゃあ、ざっと説明するね♪
とりあえず、各自で好きなテーマ決めて、ニュートンについて研究します。それをレポートにまとめて、顧問の先生に提出。ほかは、林檎の世話とか研究とか、ニュートンの絵を描く練習をしたりとか」
あ、そこまで変なことはしないんだ。レポートとか苦手だけど、何とかなりそうだし。
林檎の世話とか楽しそうだし・・・・絵は何とかしよう。
私は少しほっとして、胸をなでおろした。
「あ、それとねぇ、文化祭のときに毎年恒例のアレを行いまーす♪」
・・・・は?アレって・・・何だ!?
「あぁ、アレか」
「今年もやるんだー」
萩也先輩と結依奈先輩も、あぁ、というふうにつぶやく。
いやいやいや。アレって何なんだよう!?
「あ、アレっていうのはね、『大布教大会』のことだよ」
光介先輩がはてなになっている私に気づいてくれたのか、優しく教えてくれた。
・・・・って、『大布教大会』ってなんやねん!
「ま、大布教大会のことについてはまた日をおって説明するわ。それより、咲穂さん」
「は・・・はい!?」
大布教大会の内容がかなり気になったが、会長に呼ばれたので咄嗟に返事をした。
「あなたに、やって欲しいことがあるの」
やって欲しいこと・・・?
会長は、真剣な目で、私をまっすぐに見つめた。
どうやら、かなり重要なことらしい。
「な・・・何ですか?」
恐る恐る、私は会長に聞いた。

しばらく間をおいて、会長は口を開いた。


「・・・・・あなたに、布教隊長になって欲しいの」
「よし、分かりました・・・・・・・・・・・・って、やるかああぁぁあああ!!」

−放課後の教室に、私のツッコミが響き渡った−



[ 4//10 ]


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