女神のオムライスは世界一
我愛羅はリビングの椅子に座り、
キッチンで料理をするマリンの姿を
じっと眺めていた。

我愛羅の
「マリンの手料理が食べたい。」
という一声により、予定には無かったが
急遽、二人はマリンの家に行くことになった。

家に着き、いざ料理を始めたマリンに
何か手伝うと言った我愛羅だったが
マリンはそれを頑なに拒み、
椅子に座らせ、今に至る。


「(良いな…この感じ…)」

ふんふん〜♪と鼻歌を歌いながら
手馴れた様子でキッチンに立って
作業するマリンに我愛羅は
そう遠くないであろう将来を
想像して口元を緩めたのだった。





程なくして食卓には
マリンが作ったオムライスが並んだ。
見た目はプロ顔負けであろう出来だ。

「…いただきます。」

『召し上がれ!』

我愛羅が
ゆっくりオムライスにスプーンを入れた。

とろりとした黄色く光沢のある半熟の卵と、
ケチャップとバターの香りで
我愛羅の腹が音を立てた。

パクリとオムライスを
一口食べた我愛羅は固まった。

『ど…どう、かな?』

緊張した面持ちで
我愛羅を見つめるマリン。


「美味い……!!」

緩みきった顔をマリンに向けた我愛羅は
バクバクと今までに見た事の無い程の
凄い食べっぷりで、米粒ひとつ残さず完食した。
「こんなに飯を
美味いと感じたのは初めてだ。」
と、我愛羅は、完全に
マリンに胃袋をつかまれた様子であった。

それを見たマリンもとても嬉しそうに
笑ったのだった。




二人ともオムライスを平らげ、
ふぅ、とひと息ついた時だった。


ガチャリと
リビングの扉が開く音が響いた。


「マリン〜♪ 帰ったよ〜。」

と、ご機嫌な声と共に
カカシがリビングに姿を表した。


「「え」」


3人は目が合った瞬間フリーズした。




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