後ろから声がかかり、
我愛羅とカンクロウが振り向くと
綱手が手を上げながら歩いて来た。
「ああ…」
我愛羅が綱手に向き合うと同時に
綱手の後ろから
ひょこりと綺麗な女性が出てきた。
我愛羅は女性を思わず二度見した。
「…は?…マリン?」
我愛羅の声を聞いたカンクロウが
「え!?マリン!??」と
目を丸くしながら叫んだ。
予想以上の二人のオーバーリアクションに
綱手がクスクスと笑った。
『はい、お久しぶりです。』
マリンは"仕事の顔"でペコリと頭を下げた。
「久しぶりじゃん!
誰か分かんなかったじゃん。
元気だったか?」
『カンクロウ、久しぶりだね!
元気、元気〜♪ 』
久しぶりにカンクロウの顔を見て
表情を緩めたマリンは
もう、すっかりプライベートの顔だった。
そんなマリンから
我愛羅は目が離せずに、ゴクリと唾を飲んだ。
綺麗にめかし込んで
すっかり「大人の女性」となった彼女に
戸惑いを隠せなかった。
あまりにも綺麗で、思考がついていかなかった。
その時、「火影様ー、」と遠くで
綱手を呼ぶ声が聞こえた。
「すまない、呼ばれた様だ。
じゃあ失礼するよ。」
スタスタと歩いていく綱手。
マリンは、我愛羅とカンクロウに
微笑みながら小さく手を振ると
綱手の背中を一生懸命 追っていった。
「…我愛羅、俺、
もしマリンがお前の彼女じゃなかったら
今すぐホテルの部屋まで引っ張って行く所だったじゃん。」
小さくなっていく
マリンの背中を見ながら
カンクロウがボソッと呟いた言葉に
我愛羅がピクリと肩を震わせた。
我愛羅が
カンクロウを殺気の含んだ目で睨むと
たちまち辺りに砂が舞い上がった。
「や、じょ、冗談だっての!!
マジになんなじゃん!!」
★
カンクロウの
冷や汗でビッショリになった背中が
やっと乾いてきた頃、
綱手とマリンは挨拶周りも一通り終わり、
数々の料理が置かれる
バイキングのコーナーに来ていた。
「マリン、そろそろ腹も減ったろう?
ここからは自由時間でいいぞ。
私も旧友と募る話があるからな!」
と言いながら、
クイッとおチョコを
煽るジェスチャーをする綱手。
『はい!わかりました!
あまり飲みすぎないで下さいね(笑)』
「ああ、何かあったら
声をかけてくれ。あの辺にいると思う。」
会場の真ん中らへんを指差した綱手に
マリンは『分かりました!』と頷いた。
マリンは綱手と別れると
美味しそうな料理を皿に
これでもかという程よそって食べていた。
『ひゃ〜♪うふふ〜♪美味しい〜♪』
お腹もだいぶ膨れ、デザートコーナーを
物色していると、
夢中になり過ぎて、近くにいた人物と
軽く肩がぶつかってしまった。
マリンが慌てて顔をあげると、
爽やかな雰囲気でグレーのスーツを
ビシッと着こなした長身男性と目が合う。
『すっ、すみません!』
「ああ、大丈夫ですって…
お前、まさかマリンか??」
『へ?』
マリンは再び視線を上げて
男性を見つめた。
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