※同棲パロディの続編っぽい 藤くんはいつも優しい。私が困っていれば助けてくれるし、私が色々失敗しても大丈夫だ、と言ってくれる。 そんな彼に惹かれていった中二になる前は、藤くんと同棲することになるなんて一回も考えたこと無かった。 今でも同棲している、と思うだけで顔が真っ赤に染め上がり藤くんに心配されるほどなのに、もし考えていたら今頃私はここにいなかったのだろう。 昔の思い出を記憶から蘇らせ、つらつらと日記帳に書いていれば、がちゃりとお風呂から上がったばかりの藤くんがやってきた。 「また書いていたのか」 わしゃわしゃと首に巻いているバスタオルで自身の髪を拭いている藤くんに何時ものごとく見惚れそうになりつつ、必死にコクコクと頷く。 日記は書けば書くほど楽しくなり、かれこれ十年以上続けているのだ。藤くんと同棲してからは、彼が仕事から帰ってくるまでか、お風呂に入っているときに書くようにしている。 だから、常に藤くんは『花巻はいつも俺がリビングへ行くと日記を書いている』と思われているのだ。事実だからいいのだけど、なんか可笑しい気もするから今度から藤くんがリビングにいるときに書いてみようかしら…。あ、無理だわチキンな私にはできない。 「ふ、藤く、今日はお風呂早かったね…」 ぱたん、と日記帳を閉じて藤くんに言ってみれば向かいの椅子に座って彼は「眠くなったから」と告げた。 なんか藤くんらしい回答。はは、そっか…と控えめに返事してテレビをつける。ぱちん、と音がなってじょじょにでてきた映像は、どうやらバラエティ番組らしい。わはは、とテレビから笑い声が聞こえる。 藤くんはバラエティ番組は好きなほうにはいるらしい。本当はNHKとかでやっている将棋や囲碁の方が好きらしいんだけど、流石…。と思ったりしてもいいのかよくわからない。うーん、と思い何気なくテレビを見てみる。と、 そこにいたのは、中学校の時藤くんと良く絡んでいた美作くんと安田くんの姿。え?と不思議に思いつつも藤くんをちらりと見てみると、彼も吃驚したように目を開いていた。 「ふ、藤くん…この人たち…」 「ああ…美作と…安田?だと、思う…」 や、っぱり…と呟いてまたテレビをみる。安田くんが少しだけえっちいことを言って、それに突っ込んでいる美作くん。お笑い芸人さんになったんだぁ…。しかもとっても面白い。 中学生の時、私は将来藤くんと同棲するとは思っても見なかった。 きっと、美作くんも安田くんも自分が将来、お笑い芸人さんになっているとは思っても見なかっただろう。 私は小さな奇跡を感じてくすり、と微笑み日記帳を開いて先ほど書き終えた日記の下に、小さく書いた。 内容は――――― 2010 08 07 仮閉鎖記念(?)小説。フリーです。 |