本部が引越し作業をしている傍ら、何故か俺だけ任務に駆り出されていた。どうせ長官が頭可笑しいこと言ったに違いない、と勝手に舌打ちを一つ。

「しかも、イノセンスじゃなくてアクマの相手とか最悪」

さっさと終わらせて帰りたい。こんな田舎(イギリス、ロンドンから二時間揺られたがただ家が可愛いだけ)まで来て俺がわざわざ相手するような奴ではない。
だが、任務はこのほかにも五つ。引越しをするのにエクソシストの手も借りたい勢いなのだそうだ。

「パンダ観て帰りたい」

次は中国の奥地だ。帰りたい、のほうを強調すると、電話の向こうでコムイはこまったようにははははと笑っていた。何故か俺だけ任務を終えるたびに報告が課せられている。これでも元帥なのに。迷子防止というかむしろ逃走防止だが、そんなことをしても無駄だということはもう分かりきっている。

次の行き先は、どうやらアメリカNYのようだ。

『あ、そうだ美味しそうなお菓子買ってきて下さい』
「遊びに行くわけじゃないんですけど」

  
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