何故か、あの男の存在が俺の目を奪い去って行った。入学説明会で立海を訪れ、ふとテニスコートを見たとき、そこに立っていたあの、藍色の髪の男。 奴は遠目でも分かる程に細いのにも関わらず、頭一つ分位背の違う男から、テニスにおいていとも容易く勝利を奪っていた。 「……すげェ」 「おや、新入生君はあの人がお気に召したようですね」 隣を通りすがった男は、俺の目線にの先に居るあの男を、あたかも太陽を仰ぎ見るかのような目で見る。確かにそうだ。あの輝く様はまさしく、 「あの人は、幸村精市。私達立海大付属中テニス部の、“神の子”です」 |