俺には好きな人がいた。一目惚れだった上、一緒に行動するようになっても告白出来ずに友達というカテゴリで宙ぶらりんだった。俺はいわゆるヘタレだった。
ある日、彼女は死んだ。

俺達と一緒に行動していた女、彼女もまた友達カテゴリの、まあ下のほうだったのだが、その女に屋上から突き落とされたそうだ。

俺は後悔した。



「何故告白しなかったのか」



後悔しまくって、気が付いたら大学を卒業して普通の企業に就職していた。それからは我を忘れたように働いて、社会人十年生を卒業した三月三十一日、彼女の墓に花を供えた。ついでに彼女の実家の仏壇にも手を合わせた。

彼女の写真は、あのとき一目惚れした美しい姿のままだった。



その後のことはよく覚えていない。適当に山手線に乗り込んで最寄り駅で降りて、適当に歩いていたら右からやってきたトラックに刎ねられた。もしかしたら酔っていたかもしれない。

――それにしてもツイてなかった

そう思って息を止めたのを、覚えている。



そして、俺は転生する。
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