手塚国光、と名乗った彼からの挑戦を真田は受け、只今試合中だ。始めこそ真田が圧倒していたのだがどうやら手塚君は見た目に反して負けん気が強いらしく徐々に差を縮めていき、今丁度6−6でタイブレークに突入した所だ。



「……へぇ、面白いな」



思わず本音が漏れてしまった。

俺は今まで真田しか知らなかった。きっと今までに戦ったどの人よりも真田が一番だと俺は答えるだろう。しかしここで真田を超える、或いは同等の人が現れたら、そして俺を――



「(いや、夢見過ぎかな)」



敗北を前提に話してしまってはいくら俺だって気分が悪い。

それに俺が倒されるのはあと幾らか後だろう。何故ならば、俺は既に自分のテニスが完成してしまったけれど彼らは今だ成長の途中だ。

まあいずれ真田のテニスが確立されたとしても、俺を倒せるかどうかは別の話なのだろうけれど。
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