俺はそんなに、辛そうな顔をしていただろうか。昔からずっと一緒に居る真田はまだしも、蓮二や他の皆に気付かれるとは、最近の俺はどうかしていたのかもしれない。丸井が差し出した俺の分のドリンクを一飲みすると、それをベンチの横に置いた。



「……あれ、赤也まだ走ってるの?」

「幸村くん覚えてないの? アイツ、この間のテストで赤点取って一週間部活禁止だったじゃん。だから自分から、公衆の面前で“これから一ヶ月間部活で校庭二十週走ります”って宣言したんだろぃ」

「…あー、そんなこともあったような」



そんなことあっただろうか。内心首を捻っていたが、しかし心配させるわけにもいかず困ったように赤也を見る。そういえば、今まで真田に叱られて走らされるばかりだったのに、何故突然自発的に走ることを宣言したのだろうか。

もう夏は過ぎたというのに、しかも俺はベンチで座っていただけだというのに流れる汗を拭う。去年はこれほどまで暑かったっけ。ああもう、分からないことばかりだ。
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