ネットの前に整列すると、何故か部長が「幸村一番前ね!」とにこにこしながら言うので一番前、即ち白石と御対面することとなった。さっきにやにやしてるのは気持ち悪いと言われてしまったので笑顔で笑いかけるが、彼は唖然とした表情で俺を見ていた。

……さっきずっと見てたからストーカーって思われた? ま、まさかね…



「今日戦うのを楽しみにしてたよ、白石君」

「へっ? あ、俺もやで、幸村君」



手を差し伸べて笑うと、おそるおそる、といった具合に白石は手を握ってくれた。彼の努力が分かる、骨ばった手だった。
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