関西から帰ってくるなり定期試験が待ち構えていたり、定期試験のすぐ後に県大会が待っていたりと勉強やらテニスやらに追われていたが、そんなことしていると直ぐに関東大会がやってくる。ちなみに県大会は当たり前だけど優勝でした。俺の出番なかったけど。

しかし、関東大会が控えているということは即ち、七月の定期試験が潜むのである。



「ああああもういやっすよおおお!」

「赤也が勉強してないのが悪いんだろ、俺が折角教えてあげてるのに。俺こんなの勉強しなくても八十点は取れるね」

「う、嘘っすよおおお!」



あながち比喩でも無い。部室の一つしかない机で今開いている教科書は数学で、中一の今の時期といえば四則演算とか文字を使った計算とかそんなもんで、難しい問題はほとんど出ないというのにこの赤也君はどうやら授業中ほとんど寝ていたようだ。俺も寝てたけど。

何故こんなことを部室でやっているかといえばそう、理由はただ一つ。『七月定期で追試になった人はその後一ヶ月、大会に出られない』という規則があるからだ。同じ、言っては悪いが成績がかなり下の丸井は俺が言えばやる。だが赤也は家で勉強ができない人らしい。

まあ先生方の言うこともごもっともだ。
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