そういえば、と真田は言った。



「幸村は中学、何処に行くのだ?」

「うーん、まだ決めてないけどやっぱり立海かなぁ。近いし、偏差値的にも」



そう答えると、真田は若干弾んだ声になった。



「そうか! ならば同じだな。俺も立海に行くのだ!」

「いや、でも絶対に入れると決まったわけではないし…」



立海に入ることがもはや確定しているかのように言う真田。その自信が羨ましい。
因みに立海は筆記試験と面接の両方があるが、どちらかというと面接の方で優遇されるらしい。そういう面でもありがたかった。テニスは止めたくないし、勉強は中学位なら微分積分もしないし楽勝なのでわざわざやるほどでもないだろう。



「うむ。そうだな、幸村の言うとおりだ。油断は大敵だ」



そうはいうものの嬉しそうな真田に、俺も笑みを隠せなかった。



その後も軽く打ち合っていると、テニスクラブのコーチが俺達を手招きした。



「なんだろ、悪いことしたかな……」



それにしてはコーチの雰囲気が優しい。少なくとも怒られる雰囲気ではないので安心すると、コーチは口を開いた。



「お前等、Jr.大会に出てみないか?」
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