ちなみに、訓練している日々の間に調査兵団のトップ、つまり第十二代団長殿にお目にかかったのだが、どうやらエルヴィンは信頼されているらしく俺を入団させることも二つ返事でよろしくされてしまった。確かに年上に気に入られそうな優等生タイプだが、そんな適当でいいのか。

それもこれも、俺についてあることないことの噂が飛び交っているから、らしい。時期団長とも目されているエルヴィン(初耳だった)が連れてきた天才、やら見た目は子供頭脳は大人やら、むしろあることないことではなく、ほぼ全部嘘という無残なものだったが。火の無い所に煙は立たないものだよ、と彼は言っていたがそんなものだろうか。

「……考えることは性に合わないな」

いいかげん今日は休みにしろ、とミケに言われたのだが、未だにこの世界のことをよく分かっていない俺にとっては暇を潰す手段が無い。暇なら読むといい、と言われた本を捲りはしたものの文字が分からない。街に行けば本屋に子供向けの文字練習用の本が売っているだろうか。

思い立ったら即行動。今日も相変わらず雲ひとつ無い快晴だった。
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